11-4. 法務局の自筆証書遺言書保管制度とは
自筆証書遺言は、自分で作成できる遺言書です。
ただし、自宅で保管していると、紛失、改ざん、発見されないリスクがあります。
このような問題を減らすために、法務局で自筆証書遺言を保管してもらう制度があります。
これが、自筆証書遺言書保管制度です。
この記事では、法務局の自筆証書遺言書保管制度の概要、メリット、注意点、利用する際の確認事項について解説します。
1. 自筆証書遺言書保管制度とは
自筆証書遺言書保管制度とは、本人が作成した自筆証書遺言を、法務局に保管してもらう制度です。
法務省は、自筆証書遺言書保管制度について、遺言書を法務局で保管することで、紛失や改ざんなどを防ぎ、相続開始後の手続きに利用しやすくする制度として案内しています。
(出典:「自筆証書遺言書保管制度について」法務省)
法務局で保管された自筆証書遺言については、相続開始後、家庭裁判所での検認が不要になります。
(出典:「遺言書保管制度とは?」法務省)
自宅保管よりも紛失や改ざんのリスクを抑えやすく、相続開始後の手続き負担を軽くできる制度です。
2. 制度を利用するメリット
法務局の保管制度を利用するメリットは、主に次のとおりです。
- 遺言書の紛失を防ぎやすい
- 改ざんや隠匿のリスクを抑えやすい
- 相続開始後の検認が不要になる
- 遺言書の存在を確認しやすくなる
- 自筆証書遺言を比較的低い費用で保管できる
法務省は、法務局で保管される遺言書について、原本と画像データにより長期間管理されること、相続人等による破棄、隠匿、改ざん等を防ぐことができることを案内しています。
(出典:「遺言書保管制度とは?」法務省)
自筆証書遺言は手軽に作成できる一方で、保管面に不安があります。
法務局保管制度を利用することで、自筆証書遺言の弱点を一部補うことができます。
3. 手数料
自筆証書遺言書保管制度を利用する場合、法務局に手数料を納めます。
法務省は、遺言書の保管の申請手数料について、申請1件、遺言書1通につき3,900円と案内しています。
(出典:「09 手数料」法務省)
公正証書遺言に比べると費用を抑えやすい制度ですが、専門家に文案作成や財産整理を依頼する場合には、別途報酬が発生します。
4. 検認が不要になる
自宅などで保管されていた自筆証書遺言は、相続開始後に家庭裁判所での検認が必要になる場合があります。
一方、法務局で保管された自筆証書遺言については、遺言書情報証明書を利用することで、家庭裁判所の検認が不要になります。
裁判所も、公正証書遺言のほか、法務局で保管されている自筆証書遺言に関して交付される遺言書情報証明書は、検認の必要がないと案内しています。
(出典:「遺言書の検認」裁判所)
検認が不要になることで、相続開始後の手続きが進めやすくなります。
5. 内容の有効性まで保証されるわけではありません
法務局の保管制度を利用しても、遺言書の内容がすべて法的に問題ないと保証されるわけではありません。
法務省も、本制度は保管された遺言書の有効性を保証するものではなく、遺言の内容について相談に応じることはできないと案内しています。
(出典:「遺言書保管制度とは?」法務省)
そのため、次のような点は事前に確認が必要です。
- 財産が正確に特定されているか
- 誰に何を渡すかが明確か
- 遺留分に配慮しているか
- 不動産の表示が登記簿と一致しているか
- 遺言執行者を指定する必要があるか
- 相続人以外への遺贈があるか
保管制度を利用する場合でも、遺言書の内容は慎重に検討する必要があります。
6. 公正証書遺言との違い
法務局保管制度を利用した自筆証書遺言と、公正証書遺言は、どちらも相続開始後の検認が不要です。
ただし、両者には違いがあります。
自筆証書遺言は、本人が本文を自書して作成します。
公正証書遺言は、公証人が関与して作成します。
公正証書遺言は費用がかかりますが、公証人が関与するため、形式面の安全性が高い方法です。
一方、法務局保管制度は、費用を抑えながら自筆証書遺言を保管できる制度です。
財産内容や家族関係が複雑な場合には、公正証書遺言を検討した方がよいこともあります。
7. 行政書士に相談できること
行政書士は、自筆証書遺言書保管制度を利用する前の財産整理、相続人調査、遺言書文案の整理、財産目録の作成などをサポートできます。
保管申請そのものは本人が行う手続きですが、事前に遺言書の内容や財産の特定方法を整理しておくことが重要です。
行政書士に相談することで、法務局に保管する前の準備を進めやすくなります。
まとめ|法務局保管制度は自筆証書遺言の保管リスクを減らす制度です
法務局の自筆証書遺言書保管制度は、自筆証書遺言を安全に保管し、相続開始後の検認を不要にできる制度です。
重要なポイントは次のとおりです。
- 自筆証書遺言を法務局で保管できる
- 紛失や改ざんのリスクを抑えやすい
- 相続開始後の検認が不要になる
- 保管申請手数料は遺言書1通につき3,900円である
- 内容の有効性まで保証されるわけではない
- 複雑な内容では公正証書遺言も検討する
自筆証書遺言を作成する場合には、自宅保管だけでなく、法務局保管制度の利用も選択肢として検討するとよいでしょう。
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出典・参考情報
- 「自筆証書遺言書保管制度について」法務省
自筆証書遺言書保管制度の全体案内です。 - 「遺言書保管制度とは?」法務省
制度のメリット、検認不要、有効性を保証するものではないことなどが説明されています。 - 「09 手数料」法務省
遺言書保管申請手数料が、遺言書1通につき3,900円と案内されています。 - 「遺言書の検認」裁判所
法務局保管の自筆証書遺言に関する遺言書情報証明書は、家庭裁判所の検認が不要と案内されています。

