9-2. 相続で揉めそうな場合は誰に相談すべきか|弁護士・司法書士・行政書士の違い
相続手続きでは、相続人同士の関係が良好で、話し合いがスムーズに進むケースもあります。
一方で、遺産の分け方、預金の使い込み、遺言書の内容、不動産の取得、介護への貢献などをめぐって、相続人間で意見が対立することもあります。
相続で揉めそうな場合には、相談先を間違えないことが大切です。
この記事では、弁護士、司法書士、行政書士の違いと、どのような場合に誰へ相談すべきかを解説します。
1. 相続人同士で争いがある場合は弁護士
相続人同士で争いがある場合、または争いになりそうな場合には、弁護士への相談が基本です。
弁護士法は、弁護士が訴訟事件、非訟事件、行政庁への不服申立事件その他一般の法律事務を行うことを職務とすると定めています。
(出典:「弁護士法」e-Gov法令検索)
相続では、次のような場合に弁護士へ相談すべきです。
- 遺産分割協議がまとまらない
- 相続人の一人が話し合いに応じない
- 預金の使い込みを疑っている
- 遺言書の有効性を争いたい
- 遺留分侵害額請求をしたい、または請求された
- 特別受益や寄与分で対立している
- 相続人間の交渉を代理してほしい
- 家庭裁判所の調停や審判を検討している
裁判所は、遺産分割について相続人間で話合いがつかない場合、家庭裁判所の遺産分割調停または審判を利用できると案内しています。
(出典:「遺産分割調停」裁判所)
2. 不動産登記が必要な場合は司法書士
不動産を相続した場合には、相続登記が必要になります。
相続登記の申請代理や登記申請書の作成は司法書士の業務です。
法務省は、司法書士の業務として、登記または供託に関する手続について代理することを挙げています。
(出典:「司法書士の業務」法務省)
司法書士に相談すべき主な場面は、次のとおりです。
- 不動産の相続登記をしたい
- 登記申請書を作成してほしい
- 法務局への登記申請を代理してほしい
- 古い相続登記が未了になっている
- 不動産の共有持分を整理したい
- 抵当権抹消なども必要になる
- 相続人申告登記を検討したい
行政書士は相続登記の申請代理を行うことはできません。
不動産がある場合には、司法書士との連携が重要です。
3. 書類作成や手続き整理は行政書士
相続人間に争いがなく、相続手続きに必要な書類を整えたい場合には、行政書士に相談できます。
行政書士がサポートできる主な業務は、次のとおりです。
- 戸籍収集
- 相続人調査
- 相続関係説明図の作成
- 法定相続情報一覧図の作成支援
- 財産目録の作成
- 遺産分割協議書の作成
- 預貯金の相続手続き
- 自動車の名義変更・廃車手続き
- 公正証書遺言作成の準備支援
行政書士は、権利義務に関する書類や事実証明に関する書類の作成を業務としています。
(出典:「行政書士の業務」日本行政書士会連合会)
ただし、相続人間で対立がある場合に、一方の代理人として交渉することはできません。
4. 相続税が関係する場合は税理士
相続税がかかる可能性がある場合には、税理士へ相談する必要があります。
税理士は、税務代理、税務書類の作成、税務相談を行う専門家です。日本税理士会連合会も、税理士が相続税申告書などの税務書類の作成を行うことを案内しています。
(出典:「税理士とは」日本税理士会連合会)
税理士に相談すべき場面は、次のとおりです。
- 相続税がかかるか確認したい
- 相続税申告書を作成してほしい
- 不動産の相続税評価が必要
- 小規模宅地等の特例を確認したい
- 生命保険金や生前贈与がある
- 税務署への申告を依頼したい
行政書士は相続税申告書を作成することはできません。
5. 相談先を間違えないための考え方
相続の相談先は、次のように整理すると分かりやすくなります。
- 揉めている、揉めそう:弁護士
- 不動産登記をしたい:司法書士
- 相続税申告が必要:税理士
- 戸籍・財産・協議書を整理したい:行政書士
- 自動車の名義変更をしたい:行政書士
- 手続き全体の入口を整理したい:行政書士
ただし、実際の相続では、複数の専門家が関係することがよくあります。
たとえば、不動産があり、相続税もかかり、相続人間に争いはない場合には、行政書士、司法書士、税理士が連携して進めることがあります。
まとめ|争いがあるかどうかで相談先は変わります
相続で揉めそうな場合には、まず争いの有無を確認することが大切です。
重要なポイントは次のとおりです。
- 相続人間で争いがある場合は弁護士に相談する
- 不動産登記は司法書士に相談する
- 相続税申告は税理士に相談する
- 戸籍収集や遺産分割協議書作成は行政書士に相談できる
- 行政書士は相続人間の交渉代理はできない
- 複数の専門家が連携するケースもある
相続手続きでは、最初に状況を整理し、適切な専門家に相談することが円滑な解決につながります。
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- 行政書士に依頼できる相続手続きと依頼できない業務
出典・参考情報
- 「弁護士法」e-Gov法令検索
弁護士の職務として、訴訟事件、非訟事件、その他一般の法律事務を行うことが定められています。 - 「遺産分割調停」裁判所
遺産分割の話合いがつかない場合の家庭裁判所の調停・審判手続について案内されています。 - 「司法書士の業務」法務省
司法書士の業務として、登記または供託に関する手続の代理などが案内されています。 - 「行政書士の業務」日本行政書士会連合会
行政書士が作成できる書類と、他の法律により制限される業務について案内されています。 - 「税理士とは」日本税理士会連合会
税理士の業務として、税務代理、税務書類の作成、税務相談などが案内されています。
