10-2. 配偶者と子どもが相続人になる場合の基本的な進め方
相続で最も多い形の一つが、亡くなられた方の配偶者と子どもが相続人になるケースです。
この場合、相続人の範囲は比較的分かりやすいように見えますが、戸籍確認、遺言書の有無、財産調査、遺産分割協議など、必要な手続きは多くあります。
この記事では、配偶者と子どもが相続人になる場合の基本的な進め方と注意点について解説します。
1. 配偶者と子どもが相続人になるケース
亡くなられた方に配偶者と子どもがいる場合、通常は配偶者と子どもが相続人になります。
国税庁は、死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外では第1順位として子どもが相続人になると説明しています。子どもがすでに亡くなっている場合には、その子どもの直系卑属である孫などが相続人になることがあります。
(出典:「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」国税庁)
たとえば、夫が亡くなり、妻と子ども2人がいる場合、妻と子ども2人が相続人になります。
2. まず戸籍で相続人を確認する
配偶者と子どもが相続人になる場合でも、戸籍の確認は必要です。
特に、次のような点を確認します。
- 配偶者が法律上の婚姻関係にあるか
- 子どもが何人いるか
- 前婚の子がいないか
- 養子がいないか
- 認知した子がいないか
- 子どもが先に亡くなっていないか
- 代襲相続人がいないか
現在の家族だけで手続きを進めると、後から別の相続人が判明することがあります。
そのため、被相続人の出生から死亡までの戸籍を確認することが重要です。
3. 遺言書の有無を確認する
次に、遺言書があるかどうかを確認します。
遺言書がある場合には、原則としてその内容に沿って相続手続きを進めます。
遺言書がない場合には、配偶者と子ども全員で遺産分割協議を行い、誰がどの財産を取得するかを決めます。
遺言書が見つかった場合には、種類によって家庭裁判所の検認が必要になることがあります。
裁判所は、自筆証書遺言などについて、遺言書の保管者または発見した相続人が、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく家庭裁判所に提出して検認を請求しなければならないと案内しています。
(出典:「遺言書の検認」裁判所)
自宅で自筆証書遺言が見つかった場合は、勝手に開封せず、手続きの要否を確認しましょう。
4. 財産の内容を整理する
配偶者と子どもが相続人になる場合でも、財産の全体像を整理する必要があります。
確認すべき主な財産は次のとおりです。
- 預貯金
- 自宅不動産
- 株式・投資信託
- 生命保険
- 自動車
- 借入金
- 住宅ローン
- 未払の医療費・施設費
- 葬儀費用
配偶者が同居していた場合、自宅や生活費口座の状況は分かりやすいことがあります。
一方で、亡くなられた方だけが管理していた口座、証券口座、借入金などが後から見つかることもあります。
財産目録を作成して、プラスの財産とマイナスの財産を整理しましょう。
5. 遺産分割協議で決めること
遺言書がない場合には、配偶者と子ども全員で遺産分割協議を行います。
協議では、次のような内容を決めます。
- 自宅を配偶者が取得するか
- 預貯金をどのように分けるか
- 株式や投資信託を誰が取得するか
- 自動車を誰が引き継ぐか
- 住宅ローンや未払金をどう扱うか
- 配偶者の今後の生活資金をどう確保するか
法定相続分は一つの目安ですが、必ずその割合どおりに分けなければならないわけではありません。
国税庁も、民法に定める法定相続分は、相続人の間で遺産分割の合意ができなかったときの遺産の持分であり、必ずこの相続分で分割しなければならないわけではないと説明しています。
(出典:「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」国税庁)
相続人全員が合意すれば、家庭の事情に合わせた分け方をすることができます。
6. 配偶者の生活確保に配慮する
配偶者と子どもが相続人になる場合、配偶者の今後の生活をどう守るかが重要になることがあります。
たとえば、配偶者が自宅に住み続ける必要がある場合、自宅を誰の名義にするか、預貯金をどの程度残すかを慎重に考える必要があります。
子どもが独立している場合と、未成年の子がいる場合でも、考えるべき内容は異なります。
未成年の子が相続人になる場合には、親権者と子の利益相反が問題になり、家庭裁判所で特別代理人の選任が必要になる場合があります。裁判所も、共同相続人である親権者と未成年の子が遺産分割協議を行う場合を、利益相反行為の例として案内しています。
(出典:「特別代理人選任(親権者とその子との利益相反の場合)」裁判所)
7. 行政書士に相談できること
行政書士は、配偶者と子どもが相続人になるケースで、戸籍収集、相続人調査、財産目録、相続関係説明図、遺産分割協議書の作成などをサポートできます。
預貯金や自動車の相続手続きも、行政書士に相談しやすい分野です。
一方、不動産の相続登記は司法書士、相続税申告は税理士、相続人間の争いは弁護士の業務です。
必要に応じて他士業と連携しながら進めることが大切です。
まとめ|配偶者と子どもの相続では生活と公平性の両方を考えましょう
配偶者と子どもが相続人になる場合は、相続人の範囲が比較的分かりやすい一方で、自宅や預貯金の分け方が重要になります。
注意すべきポイントは次のとおりです。
- 配偶者と子どもが相続人になるのが基本である
- 前婚の子、養子、認知した子を戸籍で確認する
- 遺言書の有無を確認する
- 財産目録を作成する
- 遺産分割協議では配偶者の生活にも配慮する
- 未成年の子がいる場合は特別代理人に注意する
家族間で話し合いができる場合でも、書類を正確に整え、後日のトラブルを防ぐことが大切です。
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出典・参考情報
- 「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」国税庁
配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹の相続順位や法定相続分について案内されています。 - 「遺言書の検認」裁判所
遺言書の検認手続き、公正証書遺言等の検認不要の扱いについて案内されています。 - 「特別代理人選任(親権者とその子との利益相反の場合)」裁判所
親権者と未成年の子が共同相続人となる遺産分割協議など、利益相反行為と特別代理人について案内されています。
