11-6. 将来の相続に備えて今から確認しておきたいこと
相続対策というと、財産の多い方や高齢の方だけが考えるものと思われることがあります。
しかし、相続準備は、家族に負担をかけないための生活整理でもあります。
預貯金、不動産、保険、借金、契約関係、遺言書の有無などを早めに確認しておくことで、将来の相続手続きを進めやすくなります。
この記事では、将来の相続に備えて今から確認しておきたいことを整理します。
1. 相続人になりそうな人を確認する
まず確認したいのは、自分が亡くなった場合に誰が相続人になるかです。
配偶者や子どもがいる場合は比較的分かりやすいですが、子どものいない夫婦、おひとりさま、再婚家庭では、相続人関係が複雑になることがあります。
確認すべき点は次のとおりです。
- 配偶者がいるか
- 子どもがいるか
- 前婚の子がいるか
- 養子縁組をしているか
- 認知した子がいるか
- 父母が存命か
- 兄弟姉妹がいるか
- 甥・姪が相続人になる可能性があるか
相続人が誰になるかによって、遺言書の必要性や相続手続きの負担が変わります。
2. 財産を一覧にする
次に、自分の財産を一覧にしておきましょう。
整理しておきたい主な財産は次のとおりです。
- 預貯金
- ネット銀行
- 不動産
- 株式・投資信託
- 生命保険
- 自動車
- 貴金属
- 事業用財産
- 貸金庫
- 借入金
- 住宅ローン
- クレジットカード
- 未払金
財産がどこにあるか分からないと、残された家族は調査に時間を取られます。
財産の金額を細かく記載する必要はありませんが、金融機関名、証券会社名、不動産の所在地、保険会社名などを整理しておくだけでも役立ちます。
3. 不動産の名義を確認する
不動産を所有している場合には、登記事項証明書を取得し、現在の名義を確認しておきましょう。
親や祖父母の名義のままになっている不動産があると、将来の相続で手続きが複雑になることがあります。
相続登記は2024年4月1日から義務化されており、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。義務化前に発生した相続も対象とされています。
(出典:「相続登記の申請義務化に関するQ&A」法務省)
自宅、実家、共有持分、遠方の土地などがある場合には、現在の名義を確認しておくことが重要です。
4. 遺言書の必要性を検討する
次のような場合には、遺言書の作成を検討しましょう。
- 子どものいない夫婦である
- おひとりさまである
- 再婚家庭である
- 前婚の子がいる
- 相続人以外に財産を渡したい
- 特定の相続人に自宅を残したい
- 事業や会社を承継させたい
- 相続人同士の関係に不安がある
遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。
相続人が多い場合や、疎遠な親族が関係する場合には、遺言書を作成しておくことで、手続きの負担を減らしやすくなります。
5. 保険・年金・契約関係を整理する
財産だけでなく、保険や契約関係も整理しておきましょう。
確認したいものは次のとおりです。
- 生命保険
- 医療保険
- 火災保険
- 年金関係
- 介護保険
- クレジットカード
- 電気・ガス・水道
- 携帯電話
- インターネット回線
- サブスクリプション契約
- 賃貸借契約
- 施設利用契約
保険については、受取人が誰になっているかも確認しましょう。
再婚前のまま受取人が変更されていない場合など、現在の家族関係と合っていないことがあります。
6. 借金や保証債務を確認する
相続では、借金や未払金も問題になります。
家族が知らない借入れや保証債務があると、相続開始後に相続放棄を検討しなければならないことがあります。
確認しておきたいものは次のとおりです。
- 住宅ローン
- 自動車ローン
- カードローン
- 事業上の借入れ
- クレジットカード利用残高
- 未払税金
- 保証人になっている契約
- 連帯保証の有無
借金がある場合には、家族が分かるように資料を整理しておくことが大切です。
7. 専門家に相談するタイミング
次のような場合には、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
- 遺言書を作成したい
- 不動産がある
- 相続人関係が複雑である
- 再婚家庭である
- 子どもがいない
- 相続税がかかる可能性がある
- 事業承継を考えている
- 将来の認知症対策も考えたい
- 家族に相続手続きの負担をかけたくない
行政書士は、相続人関係の整理、財産目録の作成、遺言書作成の準備支援などを行うことができます。
不動産登記は司法書士、相続税は税理士、相続人間の争いや遺留分は弁護士と連携して進めることが大切です。
まとめ|相続準備は早めの確認から始めましょう
将来の相続に備えるためには、難しい手続きから始める必要はありません。
まずは、自分の相続人、財産、契約関係を整理することが大切です。
重要なポイントは次のとおりです。
- 相続人になりそうな人を確認する
- 預貯金、不動産、保険、証券口座を一覧にする
- 不動産の名義を確認する
- 遺言書の必要性を検討する
- 保険や契約関係を整理する
- 借金や保証債務も確認する
- 必要に応じて専門家へ相談する
相続準備は、家族への思いやりでもあります。
元気なうちに財産と希望を整理しておくことで、将来の手続きの負担を大きく減らすことができます。
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出典・参考情報
- 「相続登記の申請義務化に関するQ&A」法務省
相続登記の義務化、3年以内の申請義務、過料の可能性などが説明されています。 - 「不動産の相続登記義務化」政府広報オンライン
2024年4月1日より前に相続した不動産も相続登記義務化の対象であることが案内されています。 - 「民法」e-Gov法令検索
遺言の方式や相続に関する基本的な規定を確認できます。

