6-6. 未成年者や認知症の方が相続人にいる場合の注意点

相続人の中に未成年者や認知症の方がいる場合、遺産分割協議を通常どおり進められないことがあります。

遺産分割協議は、相続人が財産の分け方について合意する法律上重要な手続きです。

そのため、相続人本人が有効に判断できる状態にあるか、代理人が必要か、利益相反がないかを確認する必要があります。

この記事では、未成年者や認知症の方が相続人にいる場合の遺産分割協議の注意点について解説します。


1. 遺産分割協議には判断能力が必要です

遺産分割協議は、誰がどの財産を取得するかを決める重要な法律行為です。

そのため、相続人本人が協議内容を理解し、合意する能力が必要です。

相続人が未成年者の場合や、認知症などにより判断能力が不十分な場合には、本人だけで遺産分割協議を行うことができない場合があります。

そのような場合には、法定代理人、特別代理人、成年後見人などの関与が必要になることがあります。


2. 未成年者が相続人にいる場合

未成年者が相続人になる場合、通常は親権者が法定代理人として手続きに関与します。

しかし、相続では親権者自身も相続人になることが多くあります。

たとえば、父が亡くなり、母と未成年の子が相続人になる場合、母と子は同じ遺産を分け合う関係になります。

この場合、母が子を代理して遺産分割協議を行うと、親権者と子の利益が衝突する可能性があります。


3. 特別代理人が必要になる場合

親権者と未成年者の利益が相反する場合には、家庭裁判所で特別代理人を選任する必要があります。

裁判所は、父が死亡した場合に共同相続人である母と未成年の子が行う遺産分割協議を、未成年者と法定代理人の利益が衝突する行為の例として挙げています。そのような場合、子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならないとされています。

特別代理人は、未成年者の利益を守る立場で遺産分割協議に関与します。

特別代理人を選任せずに協議を進めると、後から手続きの有効性が問題になることがあります。


4. 未成年の子が複数いる場合

未成年の子が複数いる場合には、子ども同士の間でも利益が相反することがあります。

たとえば、複数の未成年者が同じ相続で財産を分け合う場合、一人の代理人が全員を代理できない場合があります。

そのため、未成年者ごとに特別代理人が必要になることがあります。

実際にどのような代理人が必要かは、相続関係や遺産分割案によって異なります。

家庭裁判所や専門家に確認しながら進めることが大切です。


5. 認知症の方が相続人にいる場合

相続人の中に認知症の方がいる場合、その方が遺産分割協議の内容を理解し、判断できるかが問題になります。

認知症といっても、症状の程度はさまざまです。

軽度で十分な判断能力がある場合もあれば、協議内容を理解して合意することが難しい場合もあります。

判断能力が不十分な場合には、成年後見制度の利用を検討することがあります。

裁判所は、成年後見制度について、認知症、知的障害、精神障害などによって物事を判断する能力が十分ではない方について、本人の権利を守る人を選ぶことで本人を法律的に支援する制度と説明しています。


6. 成年後見人が必要になる場合

認知症などにより判断能力が欠けているのが通常の状態である場合、家庭裁判所は後見開始の審判を行い、成年後見人を選任することがあります。

裁判所は、後見開始の審判について、精神上の障害により判断能力が欠けているのが通常の状態の方を保護するための手続きと説明しています。成年後見人は、本人の財産に関する法律行為を本人に代わって行うことができます。

遺産分割協議が必要な場合には、成年後見人が本人の利益を考慮して協議に関与します。

ただし、成年後見人自身も相続人である場合などには、さらに利益相反の問題が生じることがあります。


7. すぐに署名押印を求めない

未成年者や認知症の方が相続人にいる場合、急いで遺産分割協議書に署名押印を求めることは避けるべきです。

特に、認知症の方については、本人が協議内容を理解できていない状態で署名押印した場合、後から協議の有効性が問題になる可能性があります。

また、未成年者についても、親権者が当然に代理できるとは限りません。

まずは、特別代理人や成年後見人が必要かどうかを確認することが大切です。


8. 行政書士に相談できること

行政書士は、相続人調査、戸籍収集、財産目録の作成、相続関係説明図、遺産分割協議書の作成などをサポートできます。

未成年者や認知症の方が相続人にいる場合には、通常の遺産分割協議書作成よりも慎重な確認が必要です。

特別代理人の選任や成年後見制度の利用が必要な場合には、家庭裁判所の手続きが関係します。

また、相続人間で意見の対立がある場合や、本人の利益に関する判断が難しい場合には、弁護士や司法書士と連携して進めることが重要です。


まとめ|未成年者や認知症の方がいる場合は代理人の要否を確認しましょう

相続人の中に未成年者や認知症の方がいる場合には、遺産分割協議の進め方に注意が必要です。

重要なポイントは次のとおりです。

  1. 遺産分割協議には判断能力が必要である
  2. 未成年者は親権者が代理する場合がある
  3. 親権者と未成年者の利益が相反する場合は特別代理人が必要になる
  4. 認知症の方は判断能力の程度を確認する必要がある
  5. 成年後見制度の利用が必要になる場合がある
  6. 署名押印を急がず、先に手続きの要否を確認する

未成年者や認知症の方が相続人にいる場合には、通常よりも早めに専門家へ相談し、適切な手順で進めることが大切です。


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