10-5. 兄弟姉妹が相続人になる場合の注意点
相続では、配偶者や子どもが相続人になるケースが多くあります。
しかし、亡くなられた方に子どもがなく、父母や祖父母もすでに亡くなっている場合には、兄弟姉妹が相続人になることがあります。
兄弟姉妹が相続人になる相続では、戸籍収集が複雑になりやすく、相続人の人数も多くなることがあります。
この記事では、兄弟姉妹が相続人になる場合の注意点について解説します。
1. 兄弟姉妹が相続人になるのはどのような場合か
兄弟姉妹が相続人になるのは、亡くなられた方に子どもや孫などの第1順位の相続人がなく、父母や祖父母などの第2順位の相続人もいない場合です。
国税庁は、相続人の順位について、子を第1順位、直系尊属を第2順位、兄弟姉妹を第3順位とし、兄弟姉妹は第1順位・第2順位の人がいないときに相続人になると説明しています。
(出典:「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」国税庁)
配偶者がいる場合には、配偶者と兄弟姉妹が相続人になることがあります。
配偶者がすべてを当然に相続できるわけではない点に注意が必要です。
2. 甥・姪が相続人になることがある
兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっている場合、その兄弟姉妹の子である甥・姪が相続人になることがあります。
これを代襲相続といいます。
たとえば、亡くなられた方に配偶者はいるが子どもがなく、父母もすでに亡くなっており、兄が先に亡くなっている場合、その兄の子である甥・姪が相続人になる可能性があります。
兄弟姉妹の相続では、相続人が思っていたより多くなることがあります。
3. 戸籍収集が複雑になりやすい
兄弟姉妹が相続人になる場合、戸籍収集が複雑になりやすいです。
確認すべき戸籍は、亡くなられた方本人の戸籍だけでは足りないことがあります。
一般的には、次のような戸籍を確認します。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍
- 被相続人の父母の戸籍
- 父母の出生から死亡までの戸籍
- 兄弟姉妹の戸籍
- 亡くなっている兄弟姉妹の戸籍
- 甥・姪の現在戸籍
兄弟姉妹が相続人になる場合には、亡くなられた方に子どもがいないこと、直系尊属がすでに亡くなっていること、兄弟姉妹が誰かを確認する必要があります。
4. 遺産分割協議がまとまりにくいことがある
兄弟姉妹相続では、相続人同士の関係が必ずしも近いとは限りません。
長年連絡を取っていない兄弟姉妹、遠方に住んでいる兄弟姉妹、甥・姪などが関係することがあります。
そのため、遺産分割協議では次のような問題が生じることがあります。
- 相続人全員への連絡に時間がかかる
- 一部の相続人が協議に応じない
- 相続人の住所が分からない
- 署名押印や印鑑証明書の取得に時間がかかる
- 不動産の取得や売却方針で意見が分かれる
話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所の遺産分割調停や審判を検討することがあります。
(出典:「遺産分割調停」裁判所)
5. 兄弟姉妹には遺留分がありません
兄弟姉妹が相続人になる場合、遺言書の作成が有効な対策になることがあります。
たとえば、子どものいない夫婦で、配偶者に財産を残したい場合、公正証書遺言を作成しておくことで、相続手続きを進めやすくなることがあります。
兄弟姉妹には遺留分がありません。
民法は、遺留分について「兄弟姉妹以外の相続人」と定めており、兄弟姉妹は遺留分権利者に含まれていません。
(出典:「民法」e-Gov法令検索)
そのため、兄弟姉妹が相続人になる可能性がある方は、生前に遺言書を作成しておくことで、残された配偶者や特定の人への財産承継を明確にしやすくなります。
6. 行政書士に相談できること
行政書士は、兄弟姉妹が相続人になる場合の戸籍収集、相続人調査、相続関係説明図、法定相続情報一覧図の作成支援、財産目録、遺産分割協議書の作成をサポートできます。
兄弟姉妹相続では、戸籍の数が多くなり、相続人関係を整理するだけでも時間がかかることがあります。
ただし、相続人間で争いがある場合や交渉が必要な場合には、弁護士への相談が必要です。
まとめ|兄弟姉妹相続は相続人調査と遺言書が重要です
兄弟姉妹が相続人になる場合、相続手続きは複雑になりやすいです。
重要なポイントは次のとおりです。
- 子や直系尊属がいない場合、兄弟姉妹が相続人になる
- 兄弟姉妹が先に亡くなっている場合、甥・姪が相続人になることがある
- 戸籍収集の範囲が広くなる
- 相続人が多いと協議に時間がかかる
- 兄弟姉妹には遺留分がない
- 生前対策として遺言書を検討する価値がある
兄弟姉妹が相続人になる可能性がある場合には、早めに相続人関係を確認し、必要に応じて遺言書を準備しておくことが大切です。
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出典・参考情報
- 「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」国税庁
兄弟姉妹が第3順位の相続人であること、甥・姪の代襲相続、配偶者と兄弟姉妹の法定相続分について案内されています。 - 「民法」e-Gov法令検索
相続人の範囲、代襲相続、遺留分などの規定を確認できます。 - 「遺産分割調停」裁判所
遺産分割の話合いがつかない場合の家庭裁判所の調停・審判手続が案内されています。
