4-5. 株式・投資信託・証券口座を調べる方法
相続財産には、預貯金や不動産だけでなく、株式、投資信託、債券、ETF、REITなどの有価証券が含まれることがあります。
近年は、証券会社の取引がインターネット上で完結することも多く、相続人が証券口座の存在に気づきにくい場合があります。
亡くなられた方が投資をしていた可能性がある場合には、証券会社、信託銀行、郵便物、通帳の入出金履歴などを確認することが大切です。
この記事では、株式・投資信託・証券口座を調べる方法と注意点について解説します。
1. まず郵便物や書類を確認する
株式や投資信託を調べる際は、まず自宅に残っている郵便物や書類を確認します。
探すべき資料には、次のようなものがあります。
- 証券会社からの取引報告書
- 取引残高報告書
- 年間取引報告書
- 配当金通知書
- 株主総会招集通知
- 投資信託の運用報告書
- NISA口座に関する書類
- 特定口座年間取引報告書
- 証券会社のログイン情報に関する資料
- 信託銀行からの通知
郵便物が残っていれば、どの証券会社や信託銀行と取引していたかを把握しやすくなります。
最近は電子交付を選択している場合もあるため、紙の書類が少ないこともあります。
2. 通帳の入出金履歴を確認する
証券口座が分からない場合には、銀行口座の入出金履歴が手がかりになります。
次のような入出金がないか確認します。
- 証券会社への振込
- 証券会社からの入金
- 配当金の入金
- 投資信託の分配金
- 株式売却代金の入金
- NISA関連の取引
- 信託銀行からの入金
通帳や銀行明細から証券会社名が分かれば、その証券会社に相続手続きの照会を行うことができます。
ネット銀行を利用していた場合には、オンライン明細やメールも確認が必要です。
3. 証券会社へ照会する
証券会社が分かっている場合には、その証券会社へ相続手続きの照会を行います。
一般的に、次のような書類が必要になることがあります。
- 亡くなられた方の死亡が分かる戸籍
- 請求者が相続人であることが分かる戸籍
- 相続人の本人確認書類
- 印鑑証明書
- 証券会社所定の相続手続き書類
- 遺言書または遺産分割協議書
- 法定相続情報一覧図
証券会社によって必要書類や手続きの流れは異なります。
相続人が複数いる場合、遺言書がある場合、遺産分割協議書で取得者を決める場合など、状況に応じて確認が必要です。
4. 証券会社が分からない場合
亡くなられた方が株式や投資信託を保有していた可能性はあるものの、どこの証券会社に口座があるか分からない場合があります。
その場合、株式会社証券保管振替機構、いわゆる「ほふり」の登録済加入者情報の開示請求を利用できる場合があります。
証券保管振替機構は、亡くなった方の株式等に係る口座の開設先を確認する手続きとして、相続人等による開示請求を案内しています。
ただし、この手続きで確認できるのは、一定の振替株式等に係る口座が開設されている証券会社や信託銀行等の情報です。
開示請求で、銘柄名、取引履歴、保有残高などまですべて分かるわけではないとされています。
したがって、開示請求で口座開設先が分かった後、各証券会社へ相続手続きの照会を行う必要があります。
5. 非上場株式がある場合
亡くなられた方が会社経営者や役員であった場合、非上場株式を保有していることがあります。
非上場株式は、証券会社の口座だけでは確認できない場合があります。
確認する手がかりとしては、次のようなものがあります。
- 会社の株主名簿
- 決算書
- 株券
- 会社からの配当関係資料
- 税務申告書
- 顧問税理士からの資料
- 会社との契約書
非上場株式は評価が難しく、相続税申告が必要な場合には税理士の関与が重要です。
国税庁も、取引相場のない株式の評価について、会社規模などに応じた評価方式を説明しています。
6. 評価額と遺産分割の注意点
株式や投資信託は、価格が日々変動します。
そのため、相続税の評価、遺産分割協議での評価、実際の売却価格が一致しないことがあります。
遺産分割協議では、どの時点の価格を基準にするかを相続人間で確認する必要があります。
また、投資信託や株式を売却するのか、特定の相続人が引き継ぐのかによって、手続きも変わります。
相続税がかかる可能性がある場合には、税理士に評価方法を確認することが重要です。
7. 行政書士に相談できること
行政書士は、株式・投資信託の相続手続きに必要な戸籍収集、相続関係説明図、財産目録、遺産分割協議書の作成などをサポートできます。
証券会社の相続手続きでは、金融機関ごとに必要書類が異なるため、資料整理が重要です。
ただし、有価証券の税務評価や相続税申告は税理士の業務です。
また、相続人間で株式の取得方法や売却をめぐって争いがある場合には、弁護士への相談が必要になることがあります。
まとめ|証券口座は郵便物・通帳・開示請求で確認します
株式や投資信託は、見落とされやすい相続財産の一つです。
確認のポイントは次のとおりです。
- 証券会社からの郵便物を確認する
- 通帳の入出金履歴を確認する
- 証券会社が分かる場合は直接照会する
- 分からない場合は、ほふりの開示請求を検討する
- 非上場株式がある場合は会社資料を確認する
- 評価や相続税は税理士に確認する
亡くなられた方が投資をしていた可能性がある場合には、早めに証券口座の有無を確認しましょう。
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