4-6. 借金や未払金がある場合の相続手続き|相続放棄を検討すべきケース

相続では、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金や未払金などのマイナスの財産も問題になります。

亡くなられた方に借金がある場合、相続人がその債務を引き継ぐ可能性があります。

そのため、相続が発生したら、財産だけでなく債務の有無も早めに確認することが大切です。

この記事では、借金や未払金がある場合の確認方法、相続放棄を検討すべきケース、注意点について解説します。


1. 相続では借金も確認する必要があります

相続財産というと、預貯金や不動産などの財産に目が向きがちです。

しかし、相続では、亡くなられた方が残した借金や未払金も確認する必要があります。

国税庁も、相続税を計算する際には、被相続人が残した借入金などの債務を遺産総額から差し引くことができると説明しています。

これは、相続財産を考えるうえで、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も整理する必要があることを示しています。


2. 確認すべき借金・未払金

相続で確認すべきマイナスの財産には、次のようなものがあります。

  • 銀行からの借入金
  • 住宅ローン
  • 自動車ローン
  • カードローン
  • クレジットカード利用残高
  • 消費者金融からの借入れ
  • 事業上の買掛金
  • 未払の医療費
  • 未払の介護施設費用
  • 未払の税金
  • 未払の社会保険料
  • 未払の公共料金
  • 家賃や管理費の未払い
  • 保証債務の可能性

特に注意が必要なのは、保証人になっていた場合です。

本人が借りたお金ではなくても、保証債務が問題になることがあります。

契約書、督促状、通帳の引落し履歴、郵便物などを確認しましょう。


3. 借金を調べる方法

借金や未払金を確認するには、次のような資料を調べます。

  • 金銭消費貸借契約書
  • 住宅ローン契約書
  • 自動車ローン契約書
  • クレジットカード明細
  • 督促状
  • 催告書
  • 税金や保険料の未納通知
  • 通帳の引落し履歴
  • 郵便物
  • メールやスマートフォンの通知
  • 事業関係の帳簿

また、信用情報機関への照会を検討する場合もあります。

ただし、照会できる人や手続き、取得できる情報には制限があります。

借入先が分からない場合や、債務の全体像が見えない場合には、弁護士や司法書士などに確認することをおすすめします。


4. 相続放棄を検討すべきケース

借金や未払金がある場合、相続放棄を検討することがあります。

相続放棄を検討すべき主なケースは次のとおりです。

  • 財産より借金の方が多い
  • 借金の総額が分からない
  • 消費者金融やカードローンの利用がある
  • 事業上の債務がある
  • 保証人になっていた可能性がある
  • 税金や社会保険料の滞納がある
  • 管理が難しい不動産だけが残っている
  • 相続手続きに関わりたくない事情がある

相続放棄をすると、プラスの財産も取得できなくなります。

そのため、預貯金、不動産、保険金、退職金などの有無も確認したうえで判断する必要があります。


5. 相続放棄には期限があります

相続放棄は、家庭裁判所で行う手続きです。

単に相続人同士で「自分は相続しない」と話し合うだけでは、法律上の相続放棄にはなりません。

相続放棄の申述は、原則として、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に行う必要があります。裁判所も、相続放棄の申述期間を「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」と案内しています。

3か月以内に判断できない場合には、熟慮期間の伸長を家庭裁判所に申し立てる制度があります。

借金の有無が分からない場合には、できるだけ早く財産と債務の調査を始めることが重要です。


6. 財産を処分すると相続放棄に影響することがあります

相続放棄を検討している場合には、亡くなられた方の財産を処分しないよう注意が必要です。

たとえば、次のような行為には慎重になる必要があります。

  • 預金を引き出して使う
  • 不動産を売却する
  • 自動車を売却する
  • 高価な遺品を処分する
  • 借金を一部返済する
  • 相続財産を自分のものとして扱う

行為の内容によっては、相続を承認したと評価される可能性があります。

葬儀費用や保存行為など、事情によって判断が分かれることもあるため、相続放棄を検討している場合は、早めに専門家へ確認することをおすすめします。


7. 行政書士に相談できること

行政書士は、借金や未払金を含む財産目録の整理、戸籍収集、相続関係説明図の作成、相続手続き全体の資料整理などをサポートできます。

ただし、相続放棄の申述書作成や家庭裁判所への手続き代理、債権者対応、法的紛争への対応は、弁護士や司法書士に相談すべき場合があります。

借金が多い場合、期限が迫っている場合、債権者から請求が来ている場合には、早めに適切な専門家へ相談することが大切です。


まとめ|借金がある場合は早めに相続放棄の要否を確認しましょう

相続では、プラスの財産だけでなく、借金や未払金も確認する必要があります。

注意すべきポイントは次のとおりです。

  1. 借金や未払金も相続で問題になる
  2. 通帳、契約書、督促状、明細を確認する
  3. 財産より債務が多い場合は相続放棄を検討する
  4. 相続放棄は家庭裁判所で行う手続きである
  5. 期限は原則3か月以内である
  6. 財産を処分すると相続放棄に影響することがある

亡くなられた方に借金がある可能性がある場合には、早めに財産と債務の全体像を整理しましょう。


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