7-6. 貸金庫がある場合の相続手続き
亡くなられた方が銀行の貸金庫を利用していた場合、貸金庫の開扉や解約にも相続手続きが必要になります。
貸金庫には、通帳、権利証、登記識別情報、保険証券、遺言書、貴金属など、相続手続きに重要なものが保管されていることがあります。
一方で、契約者が亡くなった後は、相続人の一人が自由に開けられるとは限りません。
この記事では、貸金庫がある場合の相続手続き、開扉・解約の注意点、確認すべき書類について解説します。
1. まず貸金庫の契約があるか確認する
貸金庫の相続手続きでは、まず亡くなられた方が貸金庫を契約していたかどうかを確認します。
手がかりになる資料は次のとおりです。
- 貸金庫の鍵
- 貸金庫カード
- 銀行からの利用料引落し
- 貸金庫契約書
- 銀行からの郵便物
- 通帳の手数料引落し履歴
- 重要書類の保管メモ
貸金庫の利用料は、銀行口座から引き落とされていることがあります。
通帳や取引明細に貸金庫手数料の記載がないか確認しましょう。
2. 貸金庫は勝手に開けられない
契約者が亡くなられた場合、相続人の一人が貸金庫を自由に開けられるとは限りません。
貸金庫の中には相続財産や重要書類が入っている可能性があるため、金融機関所定の手続きが必要になります。
みずほ銀行は、被相続人が契約していた貸金庫について、手続きに必要な確認を行った後、貸金庫の解約手続きが必要であり、貸金庫の開扉・解約には原則として相続人全員の同意が必要と案内しています。
三井住友銀行も、被相続人が契約していた貸金庫の解約について、貸金庫契約店舗で手続きを行い、相続に関する依頼書にすべての相続人が署名・実印で捺印する必要がある旨を案内しています。
実際の取扱いは金融機関によって異なるため、必ず契約金融機関に確認しましょう。
3. 貸金庫の開扉・解約に必要なもの
貸金庫の開扉や解約に必要な書類・持ち物は金融機関によって異なります。
一般的には、次のようなものを求められることがあります。
- 被相続人の死亡が分かる戸籍
- 相続人が確認できる戸籍
- 相続人全員の印鑑証明書
- 相続人全員の実印
- 金融機関所定の相続関係書類
- 貸金庫の鍵
- 貸金庫カード
- 遺言書
- 遺言執行者に関する書類
- 法定相続情報一覧図
みずほ銀行は、貸金庫の解約手続きに必要なものとして、相続人の実印、貸金庫鍵、貸金庫カード、銀行所定の相続関係届書を案内しています。
三井住友銀行は、貸金庫の相続手続きで、貸金庫の鍵・カードなどに加え、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍、相続人の戸籍、相続人全員の印鑑登録証明書などを案内しています。
4. 貸金庫の中身を確認するときの注意点
貸金庫を開扉したら、中に何が入っているかを慎重に確認します。
確認すべきものは次のような書類・物品です。
- 遺言書
- 通帳
- 定期預金証書
- 権利証
- 登記識別情報通知
- 保険証券
- 株券や証券関係書類
- 貴金属
- 印鑑
- 契約書
- 借入金関係書類
中身を確認する際には、相続人間で後から疑義が生じないよう、内容物の一覧を作成し、必要に応じて写真を残すなど、記録を取ることをおすすめします。
特に、現金、貴金属、遺言書などが入っていた場合には、取扱いに注意が必要です。
5. 遺言書が見つかった場合
貸金庫の中から遺言書が見つかることがあります。
その場合、遺言書の種類や保管状態によって対応が変わります。
自筆証書遺言や秘密証書遺言が見つかった場合には、家庭裁判所の検認が必要になる場合があります。
封印のある遺言書を勝手に開封することは避けるべきです。
公正証書遺言の正本や謄本が見つかった場合には、公証役場に原本が保管されているため、検認は不要です。
貸金庫の中身を確認する際には、遺言書らしきものがあれば慎重に扱いましょう。
6. 貸金庫の中身も財産目録に整理する
貸金庫の中に財産や重要書類が入っていた場合には、財産目録に反映します。
たとえば、次のように整理します。
- 通帳が見つかった場合:金融機関と口座を確認する
- 権利証が見つかった場合:不動産の登記情報を確認する
- 保険証券が見つかった場合:保険会社に確認する
- 貴金属が見つかった場合:評価や分け方を検討する
- 借入契約書が見つかった場合:債務として整理する
貸金庫は、相続財産を調べる重要な手がかりになることがあります。
7. 行政書士に相談できること
行政書士は、貸金庫がある場合の相続手続きにおいて、戸籍収集、相続関係説明図、法定相続情報一覧図の作成支援、財産目録、遺産分割協議書の作成などをサポートできます。
貸金庫の開扉や解約では、相続人全員の同意や金融機関所定の書類が必要になることがあります。
行政書士に相談することで、貸金庫の中身を確認した後の財産整理や、必要な相続手続きを進めやすくなります。
ただし、相続人間で中身の取得をめぐって争いがある場合には、弁護士への相談が必要です。
まとめ|貸金庫は相続財産確認の重要な手がかりです
貸金庫には、相続手続きに必要な重要書類や財産が保管されていることがあります。
注意すべきポイントは次のとおりです。
- 貸金庫の契約があるか確認する
- 鍵・カード・利用料引落しを確認する
- 開扉や解約には金融機関所定の手続きが必要である
- 原則として相続人全員の同意が必要になる場合がある
- 中身を確認したら一覧化して記録を残す
- 遺言書が見つかった場合は慎重に扱う
- 中身を財産目録に反映する
貸金庫がある場合には、早めに金融機関へ確認し、相続人間で記録を残しながら手続きを進めましょう。
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