8-2. 相続登記は誰に依頼するべきか|行政書士と司法書士の役割分担
不動産を相続した場合、亡くなられた方名義の土地や建物を相続人名義に変更する必要があります。この手続きが相続登記です。
相続手続きでは、行政書士、司法書士、税理士、弁護士など、複数の専門家が関係することがあります。その中でも、不動産の相続登記については、行政書士と司法書士の役割を正しく理解しておくことが大切です。
この記事では、相続登記は誰に依頼すべきか、行政書士と司法書士の役割分担について解説します。
1. 相続登記とは
相続登記とは、亡くなられた方名義の不動産を、相続人など新しい所有者の名義に変更する登記手続きです。
対象となる不動産には、次のようなものがあります。
- 土地
- 建物
- マンション
- 共有持分
- 私道持分
- 貸地
- 貸家
- 遠方の土地
相続登記は2024年4月1日から義務化されており、不動産を相続したことを知った日から原則3年以内に申請する必要があります。
2. 相続登記の申請代理は司法書士の業務です
相続登記の申請代理や、登記申請書の作成は、司法書士の業務です。
法務省は、司法書士の業務として、登記または供託に関する手続について代理することを挙げています。日本司法書士会連合会も、司法書士の業務には不動産登記、相続登記、会社法人登記、供託手続の代理などが含まれると案内しています。
そのため、法務局への相続登記申請を専門家に依頼する場合、通常は司法書士へ依頼します。
行政書士は、相続登記の申請代理を行うことはできません。
3. 行政書士が関与できる部分
行政書士は、登記申請そのものを代理することはできませんが、相続登記の前提となる相続手続きの書類整理をサポートできます。
主な業務は次のとおりです。
- 相続人調査
- 戸籍収集
- 相続関係説明図の作成
- 法定相続情報一覧図の作成支援
- 財産目録の作成
- 遺産分割協議書の作成
- 預貯金や自動車など登記以外の相続手続き
- 司法書士へ引き継ぐ資料整理
日本行政書士会連合会も、行政書士の業務として、官公署に提出する書類、権利義務に関する書類、事実証明に関する書類の作成とその代理・相談業務を案内しています。
相続登記が必要な場合でも、その前段階で戸籍や遺産分割協議書の準備が必要になるため、行政書士がサポートできる場面があります。
4. 司法書士に依頼すべき場面
次のような場合には、司法書士への相談が必要です。
- 不動産の相続登記を申請したい
- 登記申請書を作成してほしい
- 法務局に登記申請を代理してほしい
- 不動産の共有持分を整理したい
- 古い相続登記が未了である
- 抵当権抹消登記も必要である
- 相続人申告登記を検討したい
- 登記記録上の住所変更も必要である
相続登記では、戸籍、住民票の除票、固定資産評価証明書、遺産分割協議書など、多くの書類が関係します。
司法書士へ依頼する場合でも、事前に財産目録や相続関係を整理しておくと進めやすくなります。
5. 行政書士に依頼しやすい場面
次のような場合には、行政書士に相談しやすいです。
- まず相続人を調べたい
- 戸籍収集が難しい
- 財産目録を作りたい
- 遺産分割協議書を作成したい
- 預貯金や自動車の相続手続きもある
- 不動産以外の財産もまとめて整理したい
- 相続手続き全体の流れを整理したい
- 必要に応じて司法書士や税理士と連携してほしい
行政書士は、相続手続き全体の入口として、相続人、財産、必要書類を整理する役割を担うことができます。
そのうえで、不動産登記が必要な部分を司法書士へつなぐ形が実務上分かりやすい進め方です。
6. 税理士・弁護士が必要になる場合
相続登記だけでなく、相続税や相続人間の争いが関係する場合には、別の専門家が必要になります。
相続税の申告や税額計算は税理士の業務です。
相続人同士で意見が対立している場合、遺産分割協議がまとまらない場合、遺留分の請求がある場合には、弁護士に相談する必要があります。
相続手続きでは、すべてを一人の専門家だけで完結できるとは限りません。
状況に応じて、行政書士、司法書士、税理士、弁護士が連携することが大切です。
まとめ|相続登記は司法書士、前提書類の整理は行政書士が支援できます
相続登記は、不動産を相続した場合に必要となる重要な手続きです。
専門家の役割分担は、次のように整理できます。
- 相続登記の申請代理は司法書士の業務である
- 行政書士は登記申請代理を行うことはできない
- 行政書士は戸籍収集、財産目録、遺産分割協議書作成を支援できる
- 相続税が関係する場合は税理士に相談する
- 争いがある場合は弁護士に相談する
- 不動産がある相続では専門家連携が重要である
不動産を相続した場合には、まず相続人と財産を整理し、必要に応じて司法書士と連携して相続登記を進めましょう。
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