6-1. 遺産分割協議書とは?必要になる場面と作成時の注意点
遺言書がない場合や、遺言書に記載されていない財産がある場合には、相続人全員で遺産の分け方を話し合う必要があります。
この話し合いを遺産分割協議といい、その合意内容を文書にしたものが遺産分割協議書です。
遺産分割協議書は、預貯金の解約、不動産の相続登記、自動車の名義変更、株式・投資信託の相続手続きなど、さまざまな場面で必要になります。
この記事では、遺産分割協議書が必要になる場面、作成時の注意点、行政書士に相談できる内容について解説します。
1. 遺産分割協議書とは
遺産分割協議書とは、相続人全員で話し合って決めた遺産の分け方を記載した書面です。
民法では、共同相続人は、一定の場合を除き、いつでも協議により遺産の全部または一部を分割できるとされています。
遺産分割協議が成立したら、その内容を後から確認できるよう、書面として残しておくことが重要です。
口頭で合意しただけでは、金融機関や法務局などの手続きで利用できないことがあります。
2. 遺産分割協議書が必要になる主な場面
遺産分割協議書は、次のような相続手続きで必要になることがあります。
- 預貯金の解約・払戻し
- 不動産の相続登記
- 自動車の名義変更
- 株式・投資信託の相続手続き
- 相続税申告の資料
- 相続人間の合意内容の確認
- 後日のトラブル防止
特に、不動産や預貯金がある場合には、遺産分割協議書が必要になることが多くあります。
金融機関によっては、所定の相続届に相続人全員が署名押印すれば足りる場合もありますが、複数の財産をまとめて整理する場合には、遺産分割協議書を作成しておく方が分かりやすいことがあります。
3. 遺産分割協議書に記載する主な内容
遺産分割協議書には、一般的に次のような内容を記載します。
- 被相続人の氏名
- 被相続人の死亡年月日
- 被相続人の最後の住所または本籍
- 相続人全員が協議したこと
- 誰がどの財産を取得するか
- 預貯金の金融機関名、支店名、口座番号
- 不動産の所在、地番、家屋番号など
- 自動車の登録番号、車台番号など
- 代償金を支払う場合の金額と支払方法
- 後から見つかった財産の扱い
- 相続人全員の署名押印
財産を特定できるように記載することが大切です。
たとえば、不動産について「自宅」とだけ書くと、登記手続きで支障が出る場合があります。登記事項証明書の記載に基づいて、不動産を正確に表示する必要があります。
4. 相続人全員の合意が必要です
遺産分割協議は、相続人全員で行う必要があります。
相続人の一部を除いて協議した場合、その協議書では相続手続きを進められないことがあります。
そのため、遺産分割協議書を作成する前に、戸籍を集めて相続人を正確に確認しておく必要があります。
前婚の子、養子、認知した子、代襲相続人、兄弟姉妹、甥・姪などが関係する場合には、相続人調査が複雑になることがあります。
5. 実印と印鑑証明書が求められることが多い
遺産分割協議書には、相続人全員が実印で押印し、印鑑証明書を添付するのが一般的です。
法務省の相続登記手続案内でも、遺産分割協議書には相続人全員が印鑑証明書と同じ印、つまり実印を押し、その印鑑証明書を添付することが案内されています。
実印と印鑑証明書は、相続人本人が合意したことを確認するために重要です。
預貯金や不動産など、財産価値の高い手続きで利用されるため、押印や印鑑証明書の取扱いには注意が必要です。
6. 作成時に注意すべきこと
遺産分割協議書を作成するときは、次の点に注意しましょう。
- 相続人全員を正確に確認する
- 相続財産を漏れなく整理する
- 財産を特定できるように記載する
- 相続人全員の署名押印をそろえる
- 印鑑証明書を添付する
- 後から見つかった財産の扱いを決めておく
- 代償金がある場合は支払条件を明確にする
- 不動産登記や相続税申告に使える内容にする
また、相続人同士で争いがある場合や、誰かが協議内容に納得していない場合には、行政書士が一方の代理人として交渉することはできません。
そのような場合には、弁護士への相談が必要になります。
7. 行政書士に相談できること
行政書士は、相続人調査、戸籍収集、相続関係説明図の作成、財産目録の作成、遺産分割協議書の作成をサポートできます。
遺産分割協議書は、預貯金、不動産、自動車、株式などの相続手続きで利用される重要な書類です。
ただし、不動産の登記申請は司法書士、相続税申告は税理士、相続人間の争いは弁護士の業務です。
必要に応じて他士業と連携しながら進めることが大切です。
まとめ|遺産分割協議書は合意内容を形にする重要な書類です
遺産分割協議書は、相続人全員で決めた遺産の分け方を記載する書類です。
重要なポイントは次のとおりです。
- 遺言書がない場合などに作成する
- 相続人全員の合意が必要である
- 預貯金、不動産、自動車などの手続きで使う
- 財産を正確に特定して記載する
- 実印と印鑑証明書が必要になることが多い
- 争いがある場合は弁護士に相談する
相続手続きを円滑に進めるためには、相続人と財産を整理したうえで、実務で使える遺産分割協議書を作成することが大切です。
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