6-2. 遺産分割協議は誰が参加するのか|相続人全員の合意が必要な理由
遺言書がない場合や、遺言書に記載されていない財産がある場合には、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。
遺産分割協議は、相続財産を誰がどのように取得するかを決める重要な話し合いです。
そのため、一部の相続人だけで決めることはできません。
この記事では、遺産分割協議に参加すべき人、相続人全員の合意が必要な理由、相続人が漏れていた場合の注意点について解説します。
1. 遺産分割協議に参加するのは相続人全員です
遺産分割協議に参加するのは、原則として相続人全員です。
民法では、共同相続人が協議によって遺産を分割できるとされています。
そのため、遺産分割協議を行うには、まず誰が相続人になるのかを確定する必要があります。
相続人を確認せずに協議を進めると、後から別の相続人が判明し、協議をやり直す必要が出ることがあります。
2. 相続人を確認するためには戸籍が必要です
相続人は、家族の記憶や親族間の認識だけで判断するものではありません。
相続手続きでは、戸籍に基づいて法律上の相続人を確認します。
特に、次のような場合には注意が必要です。
- 前婚の子がいる
- 養子がいる
- 認知した子がいる
- 子が先に亡くなっており、孫が相続人になる
- 兄弟姉妹が相続人になる
- 甥・姪が相続人になる
- 相続人が海外に住んでいる
相続人が一人でも漏れていると、遺産分割協議書を作成しても、金融機関や法務局の手続きで問題になることがあります。
3. 配偶者や同居家族だけで決められるとは限らない
亡くなられた方と同居していた配偶者や子がいる場合でも、その人たちだけで遺産分割協議を成立させられるとは限りません。
たとえば、亡くなられた方に前婚の子がいる場合、その子も相続人になる可能性があります。
また、子どもがいない方が亡くなった場合には、配偶者と兄弟姉妹が相続人になることがあります。
この場合、配偶者がすべてを当然に取得できるわけではありません。
戸籍に基づいて相続人全員を確認することが大切です。
4. 相続人以外の人は原則として協議の当事者ではありません
遺産分割協議の当事者は、基本的には相続人です。
たとえば、相続人の配偶者、子の配偶者、内縁の配偶者、同居していた親族などは、法律上の相続人でなければ、原則として遺産分割協議の当事者ではありません。
ただし、相続人以外の人に遺言で財産を渡すとされている場合や、相続分の譲渡などがある場合には、個別に確認が必要です。
相続人以外の人が実質的に話し合いに関与することはありますが、遺産分割協議書に署名押印すべき人を誤ると、手続きに支障が出ることがあります。
5. 相続人が亡くなっている場合
相続人となるべき人が、被相続人より先に亡くなっている場合や、相続手続き中に亡くなった場合には、相続関係が複雑になることがあります。
たとえば、子が先に亡くなっている場合には、その子である孫が代襲相続人になることがあります。
また、相続開始後に相続人が亡くなった場合には、その亡くなった相続人の相続人が関係することがあります。
このような場合には、戸籍をさらに確認し、誰が協議に参加すべきかを正確に整理する必要があります。
6. 相続人全員が同じ場所に集まる必要はありません
遺産分割協議は、必ずしも相続人全員が同じ場所に集まって行う必要はありません。
電話、書面、メール、オンライン会議などで内容を確認し、最終的に遺産分割協議書へ署名押印する方法もあります。
相続人が遠方に住んでいる場合や、高齢で移動が難しい場合でも、郵送で協議書を回覧し、署名押印をそろえることが可能です。
ただし、相続人全員が協議内容を理解し、合意していることが重要です。
7. 意見が合わない場合はどうするか
相続人の一人でも協議内容に合意しない場合、遺産分割協議は成立しません。
話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所の遺産分割調停や審判を利用することがあります。裁判所は、遺産の分割について相続人の間で話合いがつかない場合には、家庭裁判所の遺産分割調停または審判の手続きを利用できると案内しています。
行政書士は、争いのない相続手続きにおける書類作成を支援できますが、相続人間の交渉代理や紛争対応は弁護士の業務です。
まとめ|遺産分割協議は相続人全員で行う必要があります
遺産分割協議は、相続人全員で行う必要があります。
重要なポイントは次のとおりです。
- 遺産分割協議には相続人全員の参加が必要である
- 相続人は戸籍で確認する
- 前婚の子、養子、認知した子を見落とさない
- 兄弟姉妹や甥・姪が相続人になる場合がある
- 相続人全員が同じ場所に集まる必要はない
- 合意できない場合は調停や審判を検討する
遺産分割協議を始める前には、相続人を正確に確認し、全員が納得できる形で手続きを進めることが大切です。
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