9-4. 相続手続きを専門家に依頼するメリットと費用の考え方
相続手続きは、相続人ご自身で進めることもできます。
しかし、戸籍収集、財産調査、遺産分割協議書の作成、預貯金や不動産の手続き、相続税の確認など、実際には多くの作業が必要になります。
相続人が複数いる場合、不動産がある場合、相続税がかかる可能性がある場合、相続人が遠方にいる場合などは、専門家に依頼することで手続きを整理しやすくなります。
この記事では、相続手続きを専門家に依頼するメリットと、費用を考える際のポイントについて解説します。
1. 専門家に依頼するメリット
相続手続きを専門家に依頼する主なメリットは、手続き全体を整理しやすくなることです。
相続では、次のような作業が必要になります。
- 戸籍収集
- 相続人調査
- 財産調査
- 財産目録の作成
- 遺産分割協議書の作成
- 預貯金の払戻し
- 不動産の相続登記
- 自動車の名義変更
- 相続税申告の確認
- 相続人間の調整
これらの手続きは、それぞれ必要書類や相談先が異なります。
専門家に依頼することで、どの手続きをどの順番で進めるべきかを整理しやすくなります。
2. 書類の不足や手続きのやり直しを防ぎやすい
相続手続きでは、戸籍や印鑑証明書、住民票、遺産分割協議書、固定資産評価証明書、金融機関所定の書類など、多くの書類が必要になります。
書類が不足していると、金融機関や法務局で手続きが止まることがあります。
特に、戸籍収集では、出生から死亡までの戸籍、改製原戸籍、除籍謄本などが必要になることがあります。
専門家に依頼することで、必要書類を早めに確認し、手続きのやり直しを防ぎやすくなります。
3. 専門家ごとに依頼できる内容は異なる
相続手続きでは、専門家ごとに担当できる業務が異なります。
主な役割は次のとおりです。
- 行政書士:戸籍収集、財産目録、遺産分割協議書、預貯金・自動車手続きなど
- 司法書士:不動産の相続登記
- 税理士:相続税申告、税務相談、税額計算
- 弁護士:相続人間の争い、交渉代理、調停・審判対応
行政書士は、権利義務や事実証明に関する書類作成を行う専門職です。
(出典:「行政書士の業務」日本行政書士会連合会)
司法書士は登記手続の代理を行う専門職です。
(出典:「司法書士の業務」法務省)
税理士は税務代理、税務書類の作成、税務相談を行う専門職です。
(出典:「税理士とは」日本税理士会連合会)
4. 費用は「安さ」だけで判断しない
相続手続きの費用は、依頼する内容、財産の種類、相続人の人数、戸籍の数、不動産の有無、相続税の有無、争いの有無などによって変わります。
費用を比較するときは、金額だけでなく、次の点を確認することが大切です。
- どこまでの業務が含まれているか
- 戸籍収集は含まれるか
- 財産目録作成は含まれるか
- 遺産分割協議書作成は含まれるか
- 金融機関手続きの支援は含まれるか
- 他士業との連携は含まれるか
- 実費は別途か
- 追加費用が発生する条件は何か
相続手続きでは、最初は簡単に見えても、後から不動産、相続税、遠方の相続人、戸籍の不足などが判明することがあります。
見積りを受ける際には、業務範囲を明確に確認しましょう。
5. 専門家に依頼した方がよいケース
次のような場合には、専門家に相談するメリットが大きくなります。
- 相続人が複数いる
- 相続人が遠方に住んでいる
- 前婚の子、養子、認知した子がいる
- 兄弟姉妹や甥・姪が相続人になる
- 不動産がある
- 預貯金口座が複数ある
- 株式や投資信託がある
- 借金や未払金がある
- 相続税がかかる可能性がある
- 遺産分割協議書が必要
- 相続人同士で意見が合わない
争いがある場合は弁護士、不動産登記は司法書士、相続税申告は税理士、書類整理や協議書作成は行政書士というように、状況に応じて相談先を選ぶことが重要です。
相続人間で話合いがつかない場合には、家庭裁判所の遺産分割調停や審判を利用することがあります。
(出典:「遺産分割調停」裁判所)
6. 行政書士に依頼する場合の考え方
行政書士に依頼する場合は、相続手続き全体の整理をどこまで依頼するかを確認しましょう。
たとえば、次のような依頼方法があります。
- 戸籍収集だけ依頼する
- 財産目録作成まで依頼する
- 遺産分割協議書の作成を依頼する
- 預貯金手続きの支援を依頼する
- 自動車の名義変更まで依頼する
- 司法書士や税理士との連携を含めて依頼する
行政書士に相談することで、相続手続きの入口を整理し、必要に応じて他の専門家へつなぐことができます。
まとめ|費用は業務範囲と必要な専門家を確認して判断しましょう
相続手続きを専門家に依頼するメリットは、手続きの全体像を整理し、必要書類や期限を確認しながら進められることです。
費用を考える際のポイントは次のとおりです。
- 何をどこまで依頼するかを明確にする
- 専門家ごとの役割を理解する
- 実費や追加費用の有無を確認する
- 不動産、税金、争いの有無を確認する
- 安さだけでなく、業務範囲と連携体制を見る
- 必要に応じて行政書士、司法書士、税理士、弁護士が連携する
相続手続きは、最初の整理がとても重要です。
専門家に依頼する場合は、費用だけでなく、どこまで対応してもらえるかを確認したうえで判断しましょう。
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- 相続手続きで税理士に相談すべきケース
出典・参考情報
- 「行政書士の業務」日本行政書士会連合会
行政書士が作成できる書類、権利義務・事実証明に関する書類、他の法律により制限される業務について案内されています。 - 「司法書士の業務」法務省
司法書士の業務として、登記または供託に関する手続の代理などが案内されています。 - 「税理士とは」日本税理士会連合会
税理士の業務として、税務代理、税務書類の作成、税務相談などが案内されています。 - 「遺産分割調停」裁判所
遺産分割の話合いがつかない場合の調停・審判手続について案内されています。
