9-6. 相続手続きで税理士に相談すべきケース
相続手続きでは、相続税の申告が必要になる場合があります。
相続税は、すべての相続でかかるわけではありません。
しかし、不動産、預貯金、株式、生命保険金、生前贈与などがある場合には、相続税申告が必要になる可能性があります。
相続税申告、税額計算、税務相談は税理士の専門分野です。
この記事では、相続手続きで税理士に相談すべきケースについて解説します。
1. 相続税がかかる可能性がある場合
税理士に相談すべき代表的なケースは、相続税がかかる可能性がある場合です。
国税庁は、正味の遺産額が基礎控除額を超える場合には相続税がかかり、申告および納税が必要になると説明しています。基礎控除額は、3,000万円+600万円×法定相続人の数で計算します。
(出典:「No.4102 相続税がかかる場合」国税庁)
次のような場合には、相続税の有無を確認した方がよいでしょう。
- 不動産がある
- 預貯金が多い
- 株式や投資信託がある
- 生命保険金がある
- 相続人の数が少ない
- 生前贈与がある
- 事業用財産がある
- 貸地、貸家、アパートがある
基礎控除額を少し超えるかどうか微妙な場合でも、早めに税理士へ相談することをおすすめします。
2. 不動産がある場合
相続財産に不動産がある場合には、相続税評価が必要になることがあります。
特に、次のような不動産がある場合には注意が必要です。
- 自宅土地
- 貸家
- アパート
- 駐車場
- 貸地
- 共有不動産
- 広い土地
- 都市部の不動産
- 複数の不動産
不動産は、固定資産税評価額、相続税評価額、実際の売却価格が異なります。
また、小規模宅地等の特例など、相続税に大きく影響する制度が関係する場合があります。
(出典:「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例」国税庁)
これらの判断は税務上の専門的な検討が必要です。
3. 生命保険金や生前贈与がある場合
生命保険金は、受取人が指定されている場合、遺産分割の対象とは別に扱われることがあります。
しかし、相続税の計算では、みなし相続財産として扱われる場合があります。
国税庁は、被相続人の死亡によって取得した生命保険金で、保険料の全部または一部を被相続人が負担していたものは、相続等により取得したものとみなされ、相続税の課税対象となると案内しています。
(出典:「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」国税庁)
また、生前贈与がある場合、相続税の計算に影響することがあります。
令和6年以後の贈与については、相続時精算課税制度や暦年課税の加算期間など、確認すべき点が増えています。
(出典:「No.4103 相続時精算課税の選択」国税庁)
生命保険金や生前贈与がある場合には、税理士に確認することが重要です。
4. 相続税申告期限に注意する
相続税の申告期限は、原則として被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。
国税庁は、相続税の申告期限について、通常は死亡の日の翌日から10か月以内であり、期限までに申告しなかった場合や少ない額で申告した場合には、加算税や延滞税がかかる場合があると案内しています。
(出典:「No.4205 相続税の申告と納税」国税庁)
10か月以内に申告するためには、早めに次の準備を進める必要があります。
- 相続人調査
- 財産調査
- 不動産評価
- 預貯金残高の確認
- 証券口座の確認
- 生命保険金の確認
- 借金や葬儀費用の確認
- 遺産分割協議
相続税がかかる可能性がある場合には、相続開始後できるだけ早い段階で税理士に相談しましょう。
5. 税理士が対応できること
税理士は、税務代理、税務書類の作成、税務相談を行う専門家です。日本税理士会連合会は、税理士の業務として、確定申告書や相続税申告書など税務署に提出する書類の作成、税務相談、税務代理などを案内しています。
(出典:「税理士とは」日本税理士会連合会)
相続では、主に次のような業務を依頼できます。
- 相続税申告の要否判断
- 相続税申告書の作成
- 相続税額の計算
- 不動産の相続税評価
- 小規模宅地等の特例の確認
- 配偶者の税額軽減の確認
- 生前贈与の確認
- 税務署への申告
- 税務調査対応
行政書士は、相続税申告書の作成や税務代理を行うことはできません。
6. 行政書士と税理士の連携
行政書士は、税理士が相続税申告を行う前提となる資料整理をサポートできます。
たとえば、次のような業務です。
- 戸籍収集
- 相続人調査
- 相続関係説明図の作成
- 財産目録の作成
- 遺産分割協議書の作成
- 預貯金や自動車の手続き
- 税理士へ渡す資料の整理
相続税がかかる可能性がある場合には、遺産分割協議書を作成する前に、税理士へ分割内容を確認した方がよいことがあります。
税務上の特例や評価方法が、最終的な税額に影響する場合があるためです。
まとめ|相続税が少しでも気になる場合は早めに税理士へ相談しましょう
相続税は、すべての相続で必要になるわけではありません。
しかし、不動産や預貯金が多い場合には、早めに税理士へ確認することが大切です。
重要なポイントは次のとおりです。
- 正味の遺産額が基礎控除額を超える場合は相続税が問題になる
- 不動産がある場合は相続税評価に注意する
- 生命保険金や生前贈与も確認が必要である
- 相続税申告期限は原則10か月以内である
- 相続税申告書の作成は税理士の業務である
- 行政書士は税理士と連携するための資料整理を支援できる
相続税がかかるかどうか判断に迷う場合は、早めに税理士へ相談することをおすすめします。
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出典・参考情報
- 「No.4102 相続税がかかる場合」国税庁
相続税がかかる場合、正味の遺産額、基礎控除額の計算式について案内されています。 - 「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例」国税庁
小規模宅地等の特例について案内されています。 - 「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」国税庁
死亡保険金が相続税の課税対象になる場合や非課税限度額について案内されています。 - 「No.4103 相続時精算課税の選択」国税庁
相続時精算課税制度について案内されています。 - 「No.4205 相続税の申告と納税」国税庁
相続税の申告期限、申告方法、加算税・延滞税の可能性について案内されています。 - 「税理士とは」日本税理士会連合会
税理士の業務として、税務代理、税務書類の作成、税務相談などが案内されています。
