10-3. 子どものいない夫婦の相続で注意すべきこと
子どものいないご夫婦の場合、どちらか一方が亡くなると、残された配偶者がすべての財産を相続すると思われることがあります。
しかし、子どもがいない場合でも、配偶者だけが相続人になるとは限りません。
亡くなられた方の父母、祖父母、兄弟姉妹、場合によっては甥・姪が相続人になることがあります。
この記事では、子どものいない夫婦の相続で注意すべきこと、遺言書作成の重要性、行政書士に相談できる内容について解説します。
1. 子どもがいない場合、配偶者だけが相続人とは限らない
亡くなられた方に子どもがいない場合でも、配偶者は常に相続人になります。
ただし、配偶者以外の相続人がいないとは限りません。
国税庁は、配偶者は常に相続人となり、子がいない場合には直系尊属、直系尊属もいない場合には兄弟姉妹が相続人になると説明しています。
(出典:「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」国税庁)
つまり、子どものいない夫婦では、次のような組み合わせになることがあります。
- 配偶者と亡くなられた方の父母
- 配偶者と亡くなられた方の兄弟姉妹
- 配偶者と亡くなられた方の甥・姪
- 配偶者のみ
配偶者だけで手続きできるとは限らない点に注意が必要です。
2. 兄弟姉妹や甥・姪が相続人になる場合
亡くなられた方の父母や祖父母がすでに亡くなっている場合、兄弟姉妹が相続人になることがあります。
さらに、兄弟姉妹が先に亡くなっている場合には、その子である甥・姪が相続人になることがあります。
この場合、残された配偶者が自宅や預貯金をそのまま引き継ぎたいと思っても、兄弟姉妹や甥・姪を含めた相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。
長年交流のない親族が相続人になることもあるため、子どものいない夫婦では、生前の準備がとても重要です。
3. 自宅不動産がある場合の注意点
子どものいない夫婦で、自宅不動産が主な財産である場合には特に注意が必要です。
遺言書がない場合、配偶者と兄弟姉妹などが相続人になると、自宅を誰が取得するかについて協議が必要になります。
配偶者が住み続けたい場合でも、他の相続人との合意が必要になることがあります。
不動産を共有にすると、将来の売却や管理で問題が生じることもあります。
自宅を配偶者に確実に残したい場合には、公正証書遺言などの作成を検討する価値があります。
4. 遺言書を作成する重要性
子どものいない夫婦では、遺言書の有無が相続手続きに大きく影響します。
遺言書で「配偶者に自宅を相続させる」「配偶者に預貯金を取得させる」と定めておけば、相続手続きが進めやすくなります。
特に、兄弟姉妹には遺留分がありません。
民法は、遺留分について「兄弟姉妹以外の相続人」と定めており、兄弟姉妹は遺留分権利者に含まれていません。
(出典:「民法」e-Gov法令検索)
そのため、配偶者に財産を残す遺言書を作成することで、相続開始後の手続きをかなり整理しやすくなる場合があります。
ただし、父母など直系尊属が相続人になる場合には遺留分の問題が生じる可能性があります。
財産内容や家族関係に応じて、専門家に相談しながら内容を検討しましょう。
5. 戸籍収集が複雑になりやすい
子どものいない夫婦で兄弟姉妹や甥・姪が相続人になる場合、戸籍収集が複雑になりやすいです。
確認すべき戸籍は、亡くなられた方本人だけでは足りないことがあります。
たとえば、次のような戸籍が必要になることがあります。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍
- 被相続人の父母の戸籍
- 兄弟姉妹の戸籍
- 亡くなっている兄弟姉妹の戸籍
- 甥・姪の現在戸籍
兄弟姉妹や甥・姪が相続人になる場合には、戸籍収集に時間がかかることがあります。
6. 行政書士に相談できること
行政書士は、子どものいない夫婦の相続について、戸籍収集、相続人調査、相続関係説明図、財産目録、遺産分割協議書の作成などをサポートできます。
また、生前対策として、遺言書作成の準備支援、公正証書遺言作成に必要な資料整理なども相談できます。
不動産登記は司法書士、相続税申告は税理士、相続人間で争いがある場合は弁護士と連携して進めることが大切です。
まとめ|子どものいない夫婦は遺言書による準備が重要です
子どものいない夫婦の相続では、配偶者だけが相続人になるとは限りません。
注意すべきポイントは次のとおりです。
- 子どもがいない場合でも配偶者だけが相続人とは限らない
- 父母、兄弟姉妹、甥・姪が相続人になることがある
- 自宅不動産がある場合は分け方に注意する
- 遺言書を作成しておくことで手続きを進めやすくなる
- 兄弟姉妹や甥・姪が関係すると戸籍収集が複雑になる
- 生前から財産整理と遺言書作成を検討する
子どものいない夫婦では、残された配偶者の生活を守るためにも、早めの相続準備が重要です。
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出典・参考情報
- 「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」国税庁
子がいない場合の相続順位、直系尊属、兄弟姉妹、甥・姪の代襲相続について確認できます。 - 「民法」e-Gov法令検索
相続人、遺産分割、遺留分などの基本規定を確認できます。 - 「遺言書の検認」裁判所
自筆証書遺言の検認、公正証書遺言等の検認不要の扱いが案内されています。
