10-6. 再婚家庭の相続で注意すべきこと
再婚家庭の相続では、家族関係が複雑になりやすく、相続人の範囲や遺産分割で注意が必要です。
前婚の子、再婚後の配偶者、再婚相手の子、養子縁組の有無などによって、相続人になる人が変わります。
現在の家族関係だけで判断して相続手続きを進めると、後から相続人が漏れていたことが分かり、手続きのやり直しになることがあります。
この記事では、再婚家庭の相続で注意すべきことについて解説します。
1. 前婚の子も相続人になる可能性がある
再婚家庭で特に注意が必要なのが、前婚の子の存在です。
亡くなられた方に前婚の子がいる場合、その子も法律上の子として相続人になる可能性があります。
国税庁は、死亡した人の子は第1順位の相続人になると説明しています。子である以上、現在の配偶者との間の子か、前婚の子かによって相続人であること自体が変わるわけではありません。
(出典:「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」国税庁)
前婚の子と長年交流がない場合でも、相続手続きでは関与が必要になることがあります。
2. 再婚相手の子は当然には相続人にならない
再婚した配偶者に連れ子がいる場合、その子は当然に相続人になるわけではありません。
亡くなられた方と再婚相手の子との間に法律上の親子関係がなければ、その子は相続人にはなりません。
再婚相手の子に財産を残したい場合には、養子縁組をする、遺言書で遺贈するなどの方法を検討する必要があります。
ただし、養子縁組や遺言書作成は、他の相続人の相続分や遺留分に影響することがあります。
家族関係や財産内容を踏まえて、慎重に検討しましょう。
3. 養子縁組がある場合
再婚家庭では、再婚相手の子と養子縁組をしている場合があります。
養子縁組をしていれば、その養子は法律上の子として相続人になる可能性があります。
一方、養子縁組をしていなければ、同居していた、生活費を負担していた、親子同然に暮らしていたという事情があっても、当然に相続人になるわけではありません。
相続手続きでは、戸籍を確認し、養子縁組の有無を正確に把握する必要があります。
4. 配偶者と前婚の子の関係に注意する
再婚家庭では、残された配偶者と前婚の子との間で、遺産分割協議が必要になることがあります。
たとえば、亡くなられた方に現在の配偶者と前婚の子がいる場合、両者が相続人になります。
この場合、次のような点が問題になることがあります。
- 自宅を配偶者が取得するか
- 預貯金をどのように分けるか
- 前婚の子と連絡が取れるか
- 感情的な対立がないか
- 遺産分割協議書に署名押印してもらえるか
- 遺留分の問題が生じないか
配偶者と前婚の子が初めて連絡を取るようなケースでは、手続きが慎重になります。
5. 遺言書の作成が重要になる
再婚家庭では、遺言書の作成が特に重要です。
遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。
一方、遺言書で財産の分け方を明確にしておけば、残された家族の負担を減らしやすくなります。
たとえば、次のような内容を検討します。
- 配偶者に自宅を残す
- 前婚の子にも一定の財産を残す
- 再婚相手の子に遺贈する
- 事業用財産を特定の人に承継させる
- 遺言執行者を指定する
ただし、遺留分に配慮しない遺言書は、相続開始後の争いにつながることがあります。
遺言書を作成する際には、民法上の遺言方式や遺留分の規定を踏まえて検討する必要があります。
(出典:「民法」e-Gov法令検索)
再婚家庭では、公正証書遺言を検討する価値があります。
6. 生命保険や受取人も確認する
再婚家庭では、生命保険の受取人にも注意が必要です。
前婚時代のまま、受取人が前配偶者や前婚の子になっていることがあります。
生命保険金は、受取人が指定されている場合、通常はその受取人が保険会社へ請求して受け取ります。
相続準備をする際は、次の点を確認しましょう。
- 生命保険の契約があるか
- 受取人が誰になっているか
- 現在の家族関係に合っているか
- 保険金額が相続税に影響しないか
- 遺留分や相続人間の公平性に問題がないか
生命保険金は、相続税の計算上、みなし相続財産として扱われる場合があります。国税庁は、被相続人の死亡によって取得した生命保険金で、保険料の全部または一部を被相続人が負担していたものは、相続等により取得したものとみなされ、相続税の課税対象になると案内しています。
(出典:「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」国税庁)
生命保険金の金額が大きい場合には、税理士にも確認しましょう。
7. 行政書士に相談できること
行政書士は、再婚家庭の相続について、戸籍収集、相続人調査、相続関係説明図、財産目録、遺産分割協議書、遺言書作成準備などをサポートできます。
再婚家庭では、戸籍を正確に確認し、誰が相続人になるのかを整理することが重要です。
ただし、前婚の子との交渉、遺留分をめぐる争い、相続人間の対立がある場合には、弁護士への相談が必要です。
まとめ|再婚家庭では相続人確認と遺言書作成が重要です
再婚家庭の相続では、現在の家族関係だけでなく、戸籍上の親族関係を正確に確認する必要があります。
重要なポイントは次のとおりです。
- 前婚の子も相続人になる可能性がある
- 再婚相手の子は当然には相続人にならない
- 養子縁組の有無を戸籍で確認する
- 配偶者と前婚の子の遺産分割協議に注意する
- 遺言書を作成しておくことが重要である
- 生命保険の受取人も確認する
再婚家庭では、相続開始後に家族が困らないよう、生前から相続人関係と財産の分け方を整理しておくことが大切です。
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出典・参考情報
- 「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」国税庁
子が第1順位の相続人であること、法定相続人の範囲と法定相続分について案内されています。 - 「民法」e-Gov法令検索
相続人、遺言、遺留分など、再婚家庭の相続で確認すべき基本規定を確認できます。 - 「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」国税庁
死亡保険金が相続税の課税対象になる場合や非課税限度額について案内されています。 - 「遺言書の検認」裁判所
遺言書の検認手続き、公正証書遺言等の検認不要の扱いについて案内されています。
