8-1. 不動産を相続した場合の手続き|相続登記と司法書士との連携

亡くなられた方が土地や建物、マンションなどの不動産を所有していた場合、相続手続きの中で不動産の名義変更を行う必要があります。

この不動産の名義変更手続きが、相続登記です。

相続登記は、2024年4月1日から義務化されており、不動産を相続したことを知った日から原則として3年以内に申請する必要があります。法務省も、相続により不動産の所有権を取得した相続人は、その取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する義務があると案内しています。

この記事では、不動産を相続した場合に確認すべきこと、相続登記の流れ、行政書士と司法書士の連携について解説します。


1. まず不動産の有無を確認する

不動産を相続したかどうかを確認するには、まず亡くなられた方の書類を確認します。

主な確認資料は次のとおりです。

  • 固定資産税納税通知書
  • 固定資産評価証明書
  • 名寄帳
  • 登記事項証明書
  • 権利証
  • 登記識別情報通知
  • 売買契約書
  • 住宅ローン関係書類
  • マンション管理費・修繕積立金の資料

固定資産税納税通知書があれば、どの市区町村に土地や建物があるかを確認しやすくなります。

ただし、固定資産税が非課税の土地や、共有持分、遠方の不動産などは見落とされることがあります。

必要に応じて、名寄帳や登記事項証明書を確認します。


2. 登記事項証明書で名義を確認する

不動産があることが分かったら、法務局で登記事項証明書を取得し、現在の名義を確認します。

登記事項証明書では、主に次の点を確認します。

  • 所有者が亡くなられた方になっているか
  • 共有者がいるか
  • 持分割合はいくらか
  • 土地と建物の両方があるか
  • 抵当権が設定されているか
  • 登記簿上の住所と最後の住所がつながるか

不動産は、住所と地番が異なる場合があります。

自宅の住所だけで判断せず、固定資産税通知書や登記事項証明書で正確に確認することが大切です。


3. 相続人と遺産分割の内容を整理する

相続登記を行うには、誰がその不動産を取得するのかを決める必要があります。

遺言書がある場合には、原則として遺言書の内容に従います。

遺言書がない場合には、相続人全員で遺産分割協議を行い、不動産を誰が取得するかを決めます。

たとえば、次のような分け方があります。

  • 配偶者が自宅を取得する
  • 長男が土地建物を取得する
  • 相続人全員で共有する
  • 一人が不動産を取得し、他の相続人に代償金を支払う
  • 売却して代金を分ける

不動産を共有にする場合、将来の売却や管理で意見が分かれる可能性があります。

共有にするか、特定の相続人が取得するかは、慎重に検討する必要があります。


4. 相続登記に必要な主な書類

相続登記に必要な書類は、遺言書の有無や遺産分割協議の内容によって変わります。

一般的には、次のような書類が必要になります。

  • 被相続人の戸籍謄本・除籍謄本等
  • 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
  • 相続人の戸籍謄本
  • 不動産を取得する相続人の住民票
  • 遺産分割協議書
  • 相続人の印鑑証明書
  • 固定資産評価証明書
  • 登記申請書
  • 相続関係説明図

法務局の相続登記案内でも、遺産分割協議による相続登記の必要書類として、戸籍関係書類、遺産分割協議書、印鑑証明書、固定資産評価証明書などが示されています。


5. 相続登記は司法書士との連携が必要です

相続登記の申請代理や登記申請書の作成は、司法書士の業務です。

法務省も、司法書士の業務として、登記または供託に関する手続について代理することを説明しています。

行政書士は、相続登記そのものを代理して申請することはできません。

一方で、行政書士は、相続登記の前提となる次のような書類整理をサポートできます。

  • 相続人調査
  • 戸籍収集
  • 相続関係説明図の作成
  • 財産目録の作成
  • 遺産分割協議書の作成
  • 司法書士へ引き継ぐ資料の整理

不動産がある相続では、行政書士と司法書士が連携することで、相続人調査から遺産分割協議書、相続登記までの流れを整理しやすくなります。


6. 相続登記を放置しない

相続登記をしないまま放置すると、次のような問題が生じることがあります。

  • 不動産を売却できない
  • 次の相続で相続人が増える
  • 遺産分割協議が複雑になる
  • 空き家の管理責任があいまいになる
  • 固定資産税の通知先で混乱する
  • 共有者との関係が複雑になる

また、相続登記は義務化されており、正当な理由なく申請しない場合は過料の対象になる可能性があります。法務省は、相続登記の義務化前に発生した相続も対象となることを案内しています。


まとめ|不動産を相続したら早めに相続登記の準備をしましょう

不動産を相続した場合には、相続登記の準備が必要です。

重要なポイントは次のとおりです。

  1. 固定資産税通知書や登記事項証明書で不動産を確認する
  2. 誰が不動産を取得するかを整理する
  3. 遺言書がない場合は遺産分割協議を行う
  4. 相続登記は原則3年以内に申請する
  5. 登記申請は司法書士の業務である
  6. 行政書士は戸籍収集や遺産分割協議書作成などを支援できる

不動産がある相続では、資料の整理と専門家の役割分担が重要です。


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