5-3. 遺言書がない場合の相続手続きと遺産分割協議

ご家族が亡くなられた後、遺言書が見つからない場合には、相続人全員で財産の分け方を話し合う必要があります。

この話し合いを、遺産分割協議といいます。

遺言書がない相続では、まず相続人を確定し、財産の内容を整理し、そのうえで誰がどの財産を取得するかを決めることになります。

この記事では、遺言書がない場合の相続手続きの流れと、遺産分割協議を進める際の注意点について解説します。


1. まず遺言書が本当にないか確認する

遺言書がないと思っていても、後から見つかる場合があります。

まずは、次のような場所を確認します。

  • 自宅の金庫、机、仏壇、重要書類の保管場所
  • 貸金庫
  • 公証役場
  • 法務局の自筆証書遺言書保管制度
  • 亡くなられた方が相談していた専門家の事務所

公正証書遺言は公証役場で作成・保管されます。

また、自筆証書遺言についても、法務局の保管制度を利用している場合があります。

遺産分割協議を行った後に遺言書が見つかると、手続きの見直しが必要になることがあります。


2. 相続人を確定する

遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。

そのため、まず戸籍を収集して、法律上の相続人を確定します。

相続人は、家族の記憶だけで判断するものではありません。

前婚の子、養子、認知した子、代襲相続人などがいる場合、戸籍を確認しなければ分からないことがあります。

相続人が一人でも漏れていると、遺産分割協議は適切に成立しません。

そのため、遺言書がない場合には、相続人調査が非常に重要です。


3. 相続財産を調査する

相続人を確認すると同時に、相続財産を調査します。

主な確認対象は次のとおりです。

  • 預貯金
  • 不動産
  • 株式・投資信託
  • 自動車
  • 生命保険
  • 貴金属・骨董品
  • 借入金
  • ローン
  • 未払の医療費・施設費・税金

財産の一部だけを見て分け方を決めると、後から別の財産や債務が見つかり、協議をやり直す必要が出ることがあります。

財産目録を作成し、プラスの財産とマイナスの財産を整理しておくと、話し合いが進めやすくなります。


4. 遺産分割協議を行う

相続人と財産が確認できたら、相続人全員で遺産分割協議を行います。

遺産分割協議では、誰がどの財産を取得するかを決めます。

たとえば、次のような内容を話し合います。

  • 預貯金を誰が取得するか
  • 不動産を誰の名義にするか
  • 自動車を誰が引き継ぐか
  • 株式や投資信託をどう分けるか
  • 一人が不動産を取得し、他の相続人に代償金を支払うか
  • 借金や未払金をどのように整理するか

遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要です。

一部の相続人だけで決めた内容では、金融機関や法務局の手続きが進まないことがあります。


5. 遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議がまとまったら、その内容を遺産分割協議書として書面に残します。

遺産分割協議書は、次のような手続きで必要になることがあります。

  • 預貯金の解約・払戻し
  • 不動産の相続登記
  • 自動車の名義変更
  • 株式や投資信託の相続手続き
  • 相続税申告の資料

遺産分割協議書には、相続人全員が署名し、実印を押印するのが一般的です。

また、手続き先から印鑑証明書を求められることがあります。

財産の表示があいまいだと、金融機関や法務局で手続きが進まないことがあります。

不動産、預貯金、株式、自動車などは、特定できるように記載することが大切です。


6. 相続人同士で意見が合わない場合

遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要です。

そのため、相続人の一人でも反対している場合には、協議を成立させることができません。

相続人同士で意見が対立している場合、行政書士が一方の代理人として交渉することはできません。

争いがある場合や、交渉が必要な場合には、弁護士に相談する必要があります。

相続手続きでは、早い段階で相続人と財産を整理し、争いが深くなる前に話し合いの土台を作ることが大切です。


7. 行政書士に相談できること

行政書士は、遺言書がない相続において、戸籍収集、相続人調査、財産目録の作成、相続関係説明図の作成、遺産分割協議書の作成などをサポートできます。

また、預貯金や自動車の相続手続きに必要な書類整理を支援することもあります。

ただし、不動産の相続登記は司法書士、相続税申告は税理士、相続人間の争いは弁護士の業務です。

必要に応じて他士業と連携しながら進めることが重要です。


まとめ|遺言書がない場合は相続人全員の協議が必要です

遺言書がない場合には、相続人全員で遺産分割協議を行い、財産の分け方を決める必要があります。

注意すべきポイントは次のとおりです。

  1. まず遺言書が本当にないか確認する
  2. 戸籍を集めて相続人を確定する
  3. 財産目録を作成して財産を整理する
  4. 相続人全員で遺産分割協議を行う
  5. 合意内容を遺産分割協議書に残す
  6. 争いがある場合は弁護士に相談する

遺言書がない相続では、最初の相続人調査と財産調査が、手続き全体の土台になります。


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