5-6. 公正証書遺言を作る流れ|必要書類・費用・期間の目安

公正証書遺言は、公証役場で公証人が作成する遺言書です。

自筆証書遺言に比べて費用と準備は必要ですが、形式不備のリスクが低く、原本が公証役場に保管されるため、安全性の高い遺言書といえます。

また、公正証書遺言は、相続開始後に家庭裁判所の検認が不要です。

この記事では、公正証書遺言を作成する流れ、必要書類、費用、期間の目安について解説します。


1. 公正証書遺言とは

公正証書遺言とは、公証人が遺言者の意思を確認し、公正証書として作成する遺言書です。

民法では、公正証書遺言について、証人2人以上の立会いが必要であること、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること、公証人が筆記して遺言者と証人に読み聞かせることなどを定めています。

公正証書遺言は、公証人が関与して作成するため、形式面での安心感があります。

また、原本は公証役場に保管されるため、紛失や改ざんのリスクを抑えられます。


2. 公正証書遺言を作る基本的な流れ

公正証書遺言を作成する一般的な流れは、次のとおりです。

  1. 財産内容を整理する
  2. 誰にどの財産を渡すかを決める
  3. 相続人・受遺者の情報を確認する
  4. 必要書類を集める
  5. 遺言書の文案を作成する
  6. 公証役場と打合せをする
  7. 証人2人を準備する
  8. 公証役場で公正証書遺言を作成する
  9. 正本・謄本を受け取る

公正証書遺言を作る前には、預貯金、不動産、株式、生命保険などの財産を整理しておくことが重要です。

財産が正確に特定されていないと、相続開始後の手続きで支障が出ることがあります。


3. 必要になる主な書類

公正証書遺言を作成する際に必要となる主な資料は、財産内容や遺言の内容によって異なります。

日本公証人連合会は、遺言公正証書作成の資料として、遺言者と相続人との続柄が分かる戸籍謄本、相続人以外に遺贈する場合の受遺者の住所が分かる資料、不動産がある場合の固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書、不動産の登記事項証明書などを案内しています。

一般的に準備する書類は次のとおりです。

  • 遺言者の本人確認書類
  • 遺言者と相続人の関係が分かる戸籍
  • 財産を受け取る人の情報
  • 不動産の登記事項証明書
  • 固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書
  • 預貯金の情報
  • 株式・投資信託の資料
  • 生命保険に関する資料
  • 証人の氏名・住所・生年月日・職業が分かる資料

実際に必要な書類は、公証役場に確認しながら準備します。


4. 証人2人が必要です

公正証書遺言を作成する際には、証人2人以上の立会いが必要です。民法も、公正証書遺言の方式として、証人2人以上の立会いを定めています。

証人には誰でもなれるわけではありません。

推定相続人、受遺者、その配偶者や直系血族などは証人になれない場合があります。

適切な証人を用意できない場合には、公証役場や専門家に相談して、証人を手配する方法を確認します。

行政書士が公正証書遺言作成を支援する場合には、証人の手配について相談できることもあります。


5. 費用の目安

公正証書遺言の作成には、公証役場の手数料がかかります。

手数料は、遺言で財産を受け取る人ごとの財産価額などによって計算されます。

日本公証人連合会は、公正証書遺言の作成手数料について、目的の価額に応じた手数料表を公表しています。たとえば、目的の価額が100万円を超え200万円以下の場合は7,000円、500万円を超え1,000万円以下の場合は20,000円、3,000万円を超え5,000万円以下の場合は33,000円などとされています。

実際の費用は、財産額、受け取る人の数、遺言の内容、公証役場での取扱い、証人手配の有無、専門家に依頼するかどうかによって変わります。

そのため、具体的な費用は、公証役場や依頼する専門家に確認する必要があります。


6. 作成期間の目安

公正証書遺言の作成期間は、財産内容や必要書類の準備状況によって異なります。

比較的単純な内容で、必要書類がそろっている場合には、短期間で作成できることもあります。

一方で、次のような場合には時間がかかることがあります。

  • 不動産が複数ある
  • 相続人以外に遺贈する
  • 受益者や受遺者が複数いる
  • 財産内容の確認に時間がかかる
  • 遺留分への配慮が必要
  • 家族関係が複雑である
  • 公証役場との調整に時間がかかる
  • 出張作成を希望する

余裕を持って準備を始めることが大切です。

特に、体調に不安がある場合や、施設・病院での作成を希望する場合には、早めに相談しましょう。


7. 公正証書遺言が向いているケース

公正証書遺言は、次のような場合に特に検討する価値があります。

  • 不動産がある
  • 子どものいない夫婦である
  • おひとりさまである
  • 再婚家庭である
  • 相続人同士の関係に不安がある
  • 相続人以外に財産を渡したい
  • 遺留分への配慮が必要である
  • 財産内容が複雑である
  • 遺言書の紛失や形式不備を避けたい
  • 相続開始後の手続きをできるだけ円滑にしたい

公正証書遺言は、費用はかかりますが、実務上の安定性を重視する場合に有効な方法です。


8. 行政書士に相談できること

行政書士は、公正証書遺言の作成に向けて、相続人関係の確認、財産目録の作成、遺言書文案の整理、必要書類の収集、公証役場との事前調整などをサポートできます。

遺言書は、単に希望を書くだけでなく、相続開始後に実際に手続きで使える内容にしておくことが大切です。

不動産、相続税、遺留分、家族関係の複雑さが関係する場合には、司法書士、税理士、弁護士と連携しながら進めることもあります。


まとめ|公正証書遺言は確実性を重視する場合に有効です

公正証書遺言は、公証人が関与して作成する安全性の高い遺言書です。

重要なポイントは次のとおりです。

  1. 公証役場で公証人が作成する
  2. 証人2人以上の立会いが必要である
  3. 原本が公証役場に保管される
  4. 家庭裁判所の検認が不要である
  5. 戸籍、不動産資料、財産資料などを準備する
  6. 費用は財産額や内容によって変わる
  7. 不動産や複雑な家族関係がある場合に検討しやすい

公正証書遺言を作成する場合には、財産と相続人関係を整理し、早めに準備を進めることが大切です。


関連記事

  • 自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の違い
  • 自筆証書遺言を作るときの注意点と法務局保管制度
  • 生前対策としての遺言書作成|家族に負担を残さないために
  • 遺言書がある場合の相続手続きの進め方

\ 最新情報をチェック /