3-6. 兄弟姉妹や甥・姪が相続人になる場合の戸籍収集

相続では、配偶者や子どもが相続人になるケースが多くあります。

しかし、亡くなられた方に子どもがいない場合などには、兄弟姉妹が相続人になることがあります。

さらに、兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合には、その子である甥・姪が相続人になることがあります。

このような相続では、戸籍収集が複雑になりやすいため、早めの確認が重要です。

この記事では、兄弟姉妹や甥・姪が相続人になる場合の戸籍収集について解説します。


1. 兄弟姉妹が相続人になる場合

兄弟姉妹が相続人になるのは、亡くなられた方に子がおらず、父母や祖父母などの直系尊属もいない場合です。

民法上、子がいる場合は子が相続人となり、子がいない場合には直系尊属、直系尊属もいない場合には兄弟姉妹が相続人になることがあります。国税庁も、法定相続人の範囲と順位について、子、直系尊属、兄弟姉妹の順に整理して説明しています。

たとえば、亡くなられた方に配偶者はいるが子どもがなく、父母もすでに亡くなっている場合には、配偶者と兄弟姉妹が相続人になることがあります。

この場合、配偶者だけで相続手続きを進められるとは限りません。

兄弟姉妹も含めた相続人確認が必要です。


2. 甥・姪が相続人になる場合

亡くなられた方の兄弟姉妹が、相続開始前にすでに亡くなっている場合、その兄弟姉妹の子である甥・姪が相続人になることがあります。

これを代襲相続といいます。

兄弟姉妹の代襲相続では、甥・姪までが問題になります。

たとえば、亡くなられた方に子がなく、父母も亡くなっており、兄が先に亡くなっている場合、その兄に子がいれば、甥・姪が相続人になる可能性があります。

このようなケースでは、亡くなられた方本人の戸籍だけでなく、兄弟姉妹や甥・姪の戸籍も確認する必要があります。


3. 兄弟姉妹相続で戸籍収集が複雑になる理由

兄弟姉妹や甥・姪が相続人になる場合、戸籍収集は通常より複雑になります。

理由は、確認すべき範囲が広がるためです。

一般的には、次のような戸籍を確認する必要があります。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍
  • 被相続人の父母の戸籍
  • 父母の出生から死亡までの戸籍
  • 兄弟姉妹の戸籍
  • 亡くなっている兄弟姉妹の出生から死亡までの戸籍
  • 甥・姪の現在戸籍
  • 相続人の現在戸籍

兄弟姉妹が相続人になる場合には、亡くなられた方に子がいないこと、直系尊属がすでに亡くなっていること、兄弟姉妹が誰であるかを確認する必要があります。

法務省の相続人申告登記の案内でも、登記記録上の所有者が亡くなり、その兄弟姉妹が申出を行う場合の必要書類例が示されており、相続関係によって必要な戸籍関係書類が異なることが分かります。


4. 戸籍収集で注意すべきポイント

兄弟姉妹や甥・姪が相続人になる場合には、次の点に注意が必要です。

父母の戸籍を確認する

兄弟姉妹を確認するためには、亡くなられた方の父母の戸籍を確認する必要があります。

同じ父母から生まれた兄弟姉妹だけでなく、父または母の一方が同じ兄弟姉妹が判明することもあります。

兄弟姉妹の死亡を確認する

兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合には、その死亡の記載がある戸籍を確認します。

さらに、その兄弟姉妹に子がいる場合には、甥・姪が相続人になる可能性があります。

甥・姪の現在戸籍を確認する

甥・姪が相続人になる場合には、その方が現在も生存しているかを確認するため、現在戸籍が必要になります。

戸籍の数が多くなる

兄弟姉妹相続では、集める戸籍の数が多くなることがあります。

古い戸籍や遠方の本籍地が関係することもあり、収集に時間がかかる場合があります。


5. 広域交付だけでは足りない場合がある

令和6年3月1日から、戸籍証明書等の広域交付制度が始まり、本籍地以外の市区町村窓口でも一定の戸籍証明書を取得できるようになりました。

ただし、広域交付は、利用できる人や取得できる証明書に制限があります。

横浜市は、広域交付について、郵送やオンライン申請では請求できないこと、電算化されていない一部の戸籍・除籍は本籍地でしか取り扱えないこと、戸籍の附票などは対象外であることを案内しています。

兄弟姉妹や甥・姪が相続人になる場合には、広域交付だけで必要な戸籍がそろわないこともあります。

その場合には、本籍地の市区町村へ個別に請求する必要があります。


6. 遺産分割協議への影響

兄弟姉妹や甥・姪が相続人になる場合、相続人の人数が多くなることがあります。

相続人が多いと、遺産分割協議の連絡、合意形成、署名押印、印鑑証明書の取得などに時間がかかります。

また、長年交流のない親族が相続人になることもあります。

このような場合には、相続人調査だけでなく、相続人への連絡方法や遺産分割協議書の作成方法にも注意が必要です。

相続人同士で意見が対立する場合には、弁護士に相談すべき場面もあります。


7. 行政書士に相談できること

行政書士は、兄弟姉妹や甥・姪が相続人になる場合の戸籍収集、相続人調査、相続関係説明図の作成、遺産分割協議書の作成などをサポートできます。

兄弟姉妹相続では、戸籍の量が多くなり、相続関係を整理するだけでも時間がかかることがあります。

早めに戸籍収集を始めることで、その後の預貯金、不動産、自動車などの手続きに進みやすくなります。


まとめ|兄弟姉妹・甥姪の相続は戸籍収集が複雑になりやすいです

兄弟姉妹や甥・姪が相続人になる場合、戸籍収集は複雑になりやすいです。

注意すべきポイントは次のとおりです。

  1. 子や直系尊属がいない場合、兄弟姉妹が相続人になることがある
  2. 兄弟姉妹が先に亡くなっている場合、甥・姪が相続人になることがある
  3. 被相続人だけでなく、父母や兄弟姉妹の戸籍も必要になる
  4. 戸籍の数が多く、収集に時間がかかることがある
  5. 広域交付だけでは足りない場合がある
  6. 相続人が多いと遺産分割協議にも時間がかかる

兄弟姉妹や甥・姪が関係する相続では、早めに相続人調査を行い、相続関係を正確に整理することが大切です。


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