7-5. 株式・投資信託を相続した場合の手続き
亡くなられた方が株式、投資信託、債券、ETF、REITなどを保有していた場合、証券会社や信託銀行で相続手続きが必要になります。
預貯金と異なり、株式や投資信託は日々価格が変動します。
また、証券会社の口座がどこにあるか分からない場合や、電子交付により紙の書類が残っていない場合もあります。
この記事では、株式・投資信託を相続した場合の手続きの流れと注意点について解説します。
1. まず証券口座の有無を確認する
最初に確認すべきことは、亡くなられた方がどの証券会社や金融機関に口座を持っていたかです。
手がかりになる資料は、次のようなものです。
- 証券会社からの郵便物
- 取引残高報告書
- 年間取引報告書
- 特定口座年間取引報告書
- 配当金通知書
- 投資信託の運用報告書
- NISA口座の書類
- 通帳の入出金履歴
- メールや電子交付通知
- スマートフォンやパソコンのアプリ
証券取引はインターネットで完結していることも多いため、紙の書類だけでは分からない場合があります。
通帳の入出金履歴から、証券会社への振込や証券会社からの入金がないか確認しましょう。
2. 証券会社が分かっている場合の手続き
証券会社が分かっている場合には、その証券会社に相続発生を連絡し、必要書類を確認します。
一般的には、次のような書類が必要になります。
- 被相続人の死亡が分かる戸籍
- 相続人であることが分かる戸籍
- 相続人の本人確認書類
- 相続人の印鑑証明書
- 遺言書
- 遺産分割協議書
- 証券会社所定の相続手続書類
- 法定相続情報一覧図
株式や投資信託を誰が引き継ぐかは、遺言書または遺産分割協議によって決めます。
相続人の一人が代表して受け取る場合でも、相続人全員の合意が必要になることがあります。
3. 証券会社が分からない場合
亡くなられた方が株式を持っていた可能性はあるものの、証券会社が分からない場合があります。
その場合、株式会社証券保管振替機構、いわゆる「ほふり」の登録済加入者情報の開示請求を利用できる場合があります。
証券保管振替機構は、亡くなった方の株式等に係る口座の開設先を確認したい場合の開示請求について、必要書類を用意し、郵送で請求し、開示結果を受け取る流れを案内しています。また、窓口や電話での受付・回答は行っておらず、提出書類に不備がない場合でも開示結果の送付まで1か月ほどかかるとされています。
ただし、この手続きで確認できるのは、一定の振替株式等に係る口座開設先です。
保有銘柄や残高の詳細は、開示結果をもとに各証券会社へ照会する必要があります。
4. 相続後は移管・売却・名義変更を検討する
株式や投資信託を相続する場合、一般的には、相続人名義の証券口座へ移管する手続きが必要になります。
その後、相続人が保有を続けるのか、売却するのかを判断します。
注意すべき点は次のとおりです。
- 相続人名義の証券口座が必要になる場合がある
- 移管できる商品とできない商品がある
- 投資信託の取扱いは金融機関ごとに異なる
- 売却時には価格変動リスクがある
- NISA口座の商品は通常の課税口座へ移る場合がある
- 相続税評価と実際の売却価格が異なる場合がある
証券会社ごとに手続きが異なるため、具体的な流れは取引証券会社に確認します。
5. 評価額に注意する
株式や投資信託は、相続発生後も価格が変動します。
そのため、遺産分割協議で使う評価額、相続税申告で使う評価額、実際の売却価格が異なることがあります。
相続税申告が必要な場合には、税理士に評価方法を確認する必要があります。
上場株式や投資信託の評価方法、非上場株式の評価方法は、税務上の判断が必要になる場合があります。
相続人同士で分け方を決める場合にも、どの時点の価格を基準にするかを確認しておくことが大切です。
6. 配当金や分配金も確認する
株式や投資信託を相続する場合には、配当金や分配金も確認しましょう。
亡くなられた後に配当金が支払われている場合や、未受領の配当金がある場合があります。
確認する資料は次のとおりです。
- 配当金通知書
- 株主総会関係書類
- 証券口座の取引履歴
- 銀行口座への入金履歴
- 信託銀行からの通知
少額であっても、相続財産として整理が必要になることがあります。
7. 行政書士に相談できること
行政書士は、株式・投資信託の相続手続きに必要な戸籍収集、相続関係説明図、法定相続情報一覧図の作成支援、財産目録、遺産分割協議書の作成などをサポートできます。
証券会社の手続きは、金融機関ごとに必要書類が異なるため、相続人や財産を整理したうえで進めることが大切です。
ただし、相続税評価や税務申告は税理士、相続人間の争いは弁護士の業務です。
必要に応じて他士業と連携しながら進めます。
まとめ|株式・投資信託は証券口座と評価額の確認が重要です
株式・投資信託を相続した場合には、証券会社の確認、相続手続き、移管や売却、評価額の確認が必要になります。
重要なポイントは次のとおりです。
- 証券会社からの郵便物や通帳履歴を確認する
- 証券会社が不明な場合は、ほふりの開示請求を検討する
- 相続人名義の証券口座への移管が必要になる場合がある
- 株式や投資信託は価格が変動する
- 相続税評価は税理士に確認する
- 配当金や分配金も確認する
亡くなられた方が投資をしていた可能性がある場合には、早めに証券口座の有無を確認しましょう。
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