7-1. 預貯金の相続手続き|銀行口座の解約・払戻しの流れ

ご家族が亡くなられた場合、亡くなられた方名義の銀行口座について、解約や払戻しの手続きが必要になることがあります。

預貯金は相続財産に含まれるため、相続人の一人が自由に引き出したり、使ったりできるものではありません。

金融機関に相続発生を連絡すると、通常、その口座での入出金などの取引は制限されます。その後、金融機関所定の相続手続きに従って、必要書類を提出し、解約や払戻しを進めることになります。全国銀行協会も、口座名義人が亡くなった場合は取引金融機関へ連絡し、相続の連絡と同時に被相続人の口座取引は原則として制限されると案内しています。

この記事では、預貯金の相続手続きの基本的な流れと注意点について解説します。


1. まず取引金融機関を確認する

最初に行うのは、亡くなられた方がどの金融機関に口座を持っていたかを確認することです。

確認の手がかりになるものは、次のような資料です。

  • 通帳
  • キャッシュカード
  • 定期預金証書
  • 金融機関からの郵便物
  • 取引明細
  • インターネットバンキングの案内
  • 年金や給与の入金履歴
  • 公共料金や保険料の引落し履歴

最近は、紙の通帳がない口座やインターネット銀行を利用している場合もあります。

そのため、郵便物、スマートフォン、パソコン、メール、クレジットカード明細なども確認しておくとよいでしょう。


2. 金融機関へ相続発生を連絡する

取引金融機関が分かったら、その金融機関へ口座名義人が亡くなったことを連絡します。

連絡後、金融機関から相続手続きの案内があります。

全国銀行協会は、預金相続の手続きについて、一般的な流れを「手続のお申出」「必要書類の準備」「書類の提出」「払戻し等の手続」と整理しています。もっとも、相続の方法や内容、取引金融機関によって取扱いが異なる場合があるため、詳細は金融機関に確認する必要があります。

金融機関によっては、電話、窓口、郵送、Web受付など、手続きの始め方が異なります。

事前に連絡し、どの方法で手続きを進めるのか確認してから準備するとよいでしょう。


3. 必要書類を準備する

預貯金の相続手続きでは、遺言書の有無や遺産分割協議書の有無によって、必要書類が変わります。

一般的には、次のような書類が必要になります。

  • 被相続人の戸籍謄本・除籍謄本
  • 相続人の戸籍謄本
  • 相続人の印鑑証明書
  • 遺産分割協議書
  • 遺言書
  • 検認済証明書
  • 金融機関所定の相続届
  • 通帳、証書、キャッシュカード

全国銀行協会は、遺言書がない場合で遺産分割協議書があるケースでは、遺産分割協議書、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍、相続人全員の戸籍、相続人全員の印鑑証明書などを代表的な必要書類として案内しています。

ただし、金融機関ごとに書式や必要書類は異なります。

複数の銀行に口座がある場合には、それぞれの金融機関で必要書類を確認する必要があります。


4. 遺産分割協議書が必要になる場合

遺言書がなく、相続人が複数いる場合には、預貯金を誰が取得するかを相続人全員で決める必要があります。

その内容を記載したものが遺産分割協議書です。

金融機関によっては、所定の相続届に相続人全員が署名押印すれば手続きできる場合もあります。

しかし、複数の財産がある場合や、不動産、自動車、株式なども一緒に整理する場合には、遺産分割協議書を作成しておく方が分かりやすいことがあります。

遺産分割協議書には、金融機関名、支店名、口座種別、口座番号などを記載し、どの相続人が取得するかを明確にします。


5. 遺産分割前の払戻し制度

相続人全員の遺産分割協議が終わる前でも、一定の範囲で相続預金の払戻しを受けられる制度があります。

全国銀行協会は、民法改正により遺産分割前の相続預金の払戻し制度が設けられたことを案内しています。この制度には、家庭裁判所の判断を経る方法と、一定額について家庭裁判所の判断を経ずに金融機関から単独で払戻しを受ける方法があります。

ただし、利用できる金額や必要書類、金融機関での取扱いには注意が必要です。

葬儀費用や当面の支払いのために預金が必要な場合でも、勝手に引き出すのではなく、制度の利用可否を金融機関に確認することが大切です。


6. 払戻し・解約後の注意点

預貯金の払戻しや解約が完了した後は、相続人間での精算や分配を行います。

代表相続人が一括して受け取る場合には、次の点を明確にしておくことが重要です。

  • 誰が代表して受け取るのか
  • 受け取った金額はいくらか
  • どの相続人にいくら分配するのか
  • 葬儀費用や未払金を差し引くのか
  • 振込手数料や諸費用をどう扱うか
  • 分配後の記録を残すか

相続人間で誤解が生じないよう、払戻明細や振込記録を保管しておきましょう。


7. 行政書士に相談できること

行政書士は、預貯金の相続手続きに必要な戸籍収集、相続関係説明図、法定相続情報一覧図の作成支援、財産目録、遺産分割協議書の作成などをサポートできます。

金融機関ごとに必要書類が異なるため、複数の口座がある場合には、書類整理だけでも負担が大きくなることがあります。

行政書士に相談することで、相続人と財産を整理し、金融機関手続きに必要な書類を準備しやすくなります。


まとめ|預貯金の相続手続きは金融機関ごとに確認しましょう

預貯金の相続手続きでは、まず取引金融機関を確認し、相続発生を連絡したうえで、必要書類をそろえて払戻しや解約を進めます。

重要なポイントは次のとおりです。

  1. 通帳・キャッシュカード・郵便物で金融機関を確認する
  2. 金融機関へ相続発生を連絡する
  3. 口座取引は原則として制限される
  4. 遺言書や遺産分割協議書の有無で必要書類が変わる
  5. 遺産分割前の払戻し制度を利用できる場合がある
  6. 払戻し後の分配記録を残す

預貯金の相続手続きは、相続人調査や財産目録作成とも関係します。

必要書類を早めに確認し、手続きを整理して進めましょう。


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