5-1. 遺言書が見つかった場合に最初に確認すべきこと

ご家族が亡くなられた後、自宅の机、金庫、仏壇、貸金庫などから遺言書らしき書面が見つかることがあります。

遺言書がある場合、その内容によって相続手続きの進め方が大きく変わります。

一方で、遺言書を見つけたからといって、すぐに開封したり、その内容だけで手続きを進めたりしてよいとは限りません。

遺言書の種類や保管方法によっては、家庭裁判所での検認手続きが必要になる場合があります。

この記事では、遺言書が見つかった場合に最初に確認すべきこと、注意すべき点、手続きの進め方について解説します。


1. まず遺言書を勝手に開封しない

封印のある遺言書が見つかった場合は、勝手に開封しないよう注意が必要です。

家庭裁判所の案内では、遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく家庭裁判所に遺言書を提出して検認を請求しなければならないとされています。また、封印のある遺言書は家庭裁判所で相続人等の立会いのもとで開封する必要があります。

遺言書を勝手に開封すると、後から他の相続人との間で、内容の改ざんや隠匿を疑われる原因になることがあります。

遺言書らしき書面が見つかった場合は、開封せず、発見した場所や保管状況を記録し、そのまま保管しておくことが大切です。


2. 遺言書の種類を確認する

遺言書には、主に次の種類があります。

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

民法では、普通方式の遺言として、自筆証書、公正証書、秘密証書の方式が定められています。

遺言書の種類によって、その後の手続きが変わります。

公正証書遺言であれば、原本は公証役場に保管されており、家庭裁判所の検認は不要です。

自筆証書遺言の場合は、自宅などで保管されていたものか、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用していたものかによって、検認の要否が変わります。

法務局で保管されている自筆証書遺言について交付される「遺言書情報証明書」は、家庭裁判所での検認が不要とされています。


3. 検認が必要か確認する

遺言書が見つかった場合に、まず確認したいのが家庭裁判所の検認が必要かどうかです。

検認とは、相続人に遺言書の存在と内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名などを明確にして、偽造・変造を防止するための手続きです。

裁判所は、検認は遺言の有効・無効を判断する手続きではないと説明しています。

つまり、検認を受けたからといって、遺言書の内容がすべて有効と判断されたわけではありません。

一方で、検認が必要な遺言書について検認を経ないまま手続きを進めると、金融機関や不動産の手続きで支障が出ることがあります。


4. 公正証書遺言かどうかを確認する

公正証書遺言は、公証人が作成し、公証役場で保管される遺言書です。

公正証書遺言の場合、自宅に保管されているのは通常、正本または謄本です。原本は公証役場に保管されています。

公正証書遺言がある場合には、家庭裁判所の検認は不要です。

ただし、内容を確認したうえで、遺言執行者が指定されているか、どの財産について誰が取得することになっているか、相続手続きに必要な書類は何かを整理する必要があります。


5. 遺言執行者が指定されているか確認する

遺言書の中に、遺言執行者が指定されていることがあります。

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために手続きを行う人です。

遺言執行者が指定されている場合には、預貯金の解約、名義変更、相続人への通知など、遺言内容に応じた手続きを進めることになります。

遺言執行者が指定されていない場合でも、相続人が協力して手続きを進めることはありますが、内容によっては遺言執行者の選任を検討することもあります。


6. 遺言書にすべての財産が書かれているか確認する

遺言書がある場合でも、亡くなられた方の財産すべてが記載されているとは限りません。

たとえば、遺言書作成後に新たに取得した預貯金、不動産、株式などがある場合、その財産については遺言書に記載されていないことがあります。

遺言書に記載のない財産がある場合には、その財産について相続人間で遺産分割協議が必要になることがあります。

そのため、遺言書の内容を確認すると同時に、財産調査も行うことが重要です。


7. 行政書士に相談できること

行政書士は、遺言書が見つかった後の相続手続きにおいて、戸籍収集、相続人調査、財産目録の作成、遺産分割協議書の作成、預貯金や自動車の相続手続きなどをサポートできます。

また、公正証書遺言がある場合や、法務局保管制度を利用した自筆証書遺言がある場合には、必要書類の整理や各手続き先への確認を支援することがあります。

ただし、遺言の有効性をめぐって争いがある場合や、遺留分の請求、相続人間の交渉が必要な場合には、弁護士への相談が必要になります。


まとめ|遺言書が見つかったら種類と手続きを確認しましょう

遺言書が見つかった場合には、すぐに内容だけを見て手続きを進めるのではなく、まず遺言書の種類と手続きの要否を確認することが大切です。

注意すべきポイントは次のとおりです。

  1. 封印のある遺言書を勝手に開封しない
  2. 自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の種類を確認する
  3. 家庭裁判所の検認が必要か確認する
  4. 遺言執行者が指定されているか確認する
  5. 遺言書に記載のない財産がないか確認する
  6. 争いがある場合は弁護士に相談する

遺言書がある相続では、最初の確認を誤らないことが、その後の手続きを円滑に進めるために重要です。


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