6-5. 相続人の一部と連絡が取れない場合の注意点
相続手続きを進める際、相続人の一部と連絡が取れないことがあります。
長年交流がない兄弟姉妹、前婚の子、遠方に住む親族、住所が分からない相続人などがいる場合です。
遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要です。
そのため、一部の相続人と連絡が取れないからといって、その人を除いて協議を進めることはできません。
この記事では、相続人の一部と連絡が取れない場合の確認方法、注意点、専門家に相談すべき場面について解説します。
1. 連絡が取れない相続人を除外してはいけません
遺産分割協議は、相続人全員で行う必要があります。
一部の相続人と連絡が取れない場合でも、その人を除いて遺産分割協議書を作成することはできません。
相続人が一人でも漏れていると、金融機関での預貯金手続き、不動産の相続登記、自動車の名義変更などが進まないことがあります。
まずは、戸籍を集めて相続人を確定し、連絡先を確認することが必要です。
2. 戸籍の附票などで住所を確認する
相続人の住所が分からない場合には、戸籍の附票などから住所を確認できることがあります。
戸籍の附票には、その戸籍に入っている人の住所の履歴が記録されています。
相続人調査では、戸籍だけでなく、住民票や戸籍の附票を利用して、現在の住所を確認することがあります。
住所が判明したら、まずは手紙を送るなど、穏やかな方法で連絡を取ることが一般的です。
3. 連絡を拒否している場合
住所は分かっているものの、相続人が連絡に応じない場合があります。
この場合、単に「所在不明」とは異なります。
相続人が生存しており、住所も分かっているが、話し合いに応じない場合には、家庭裁判所の遺産分割調停を検討することがあります。
裁判所は、遺産分割について相続人間で話合いがつかない場合、家庭裁判所の遺産分割調停または審判を利用できると案内しています。
行政書士は、一方の相続人の代理人として交渉することはできません。
相手が連絡を拒否している、協議が進まない、感情的な対立がある場合には、弁護士への相談が必要になることがあります。
4. 所在不明の場合は不在者財産管理人を検討する
相続人の住所や居所が分からず、容易に戻る見込みがない場合には、不在者財産管理人の選任が問題になることがあります。
裁判所は、従来の住所または居所を去り、容易に戻る見込みのない者に財産管理人がいない場合、家庭裁判所が申立てにより財産管理人選任等の処分を行うことができると案内しています。選任された不在者財産管理人は、家庭裁判所の権限外行為許可を得たうえで、不在者に代わって遺産分割を行うことができるとされています。
不在者財産管理人の手続きは家庭裁判所で行う手続きです。
所在不明の相続人がいる場合には、早めに弁護士や司法書士などへ相談することをおすすめします。
5. 失踪宣告が問題になる場合
長期間にわたり生死が分からない場合には、失踪宣告が問題になることもあります。
ただし、失踪宣告は重大な効果を伴う手続きです。
単に連絡が取れない、住所が分からないというだけで直ちに利用するものではありません。
不在者財産管理人の選任で対応するのか、失踪宣告を検討するのかは、事情によって異なります。
このような場合には、家庭裁判所の手続きに詳しい専門家に相談することが必要です。
6. 遺産分割協議書を作成する前に確認すべきこと
相続人の一部と連絡が取れない場合には、次の点を確認しましょう。
- その人が本当に相続人か
- 戸籍で相続関係を確認したか
- 現在の住所を調査したか
- 手紙などで連絡を試みたか
- 連絡拒否なのか所在不明なのか
- 遺産分割調停が必要な状況か
- 不在者財産管理人の選任が必要な状況か
- 相続税や相続登記の期限に影響しないか
連絡が取れない相続人を除いて協議書を作成しても、後から手続きが止まる可能性があります。
早めに対応方針を決めることが大切です。
7. 行政書士に相談できること
行政書士は、戸籍収集、相続人調査、戸籍の附票による住所確認のための資料整理、相続関係説明図の作成、財産目録の作成などをサポートできます。
また、争いのない範囲で、遺産分割協議書の作成を支援することもできます。
ただし、相続人への交渉、連絡拒否への対応、遺産分割調停、不在者財産管理人の申立て、紛争対応については、弁護士や司法書士に相談すべき場面があります。
まとめ|連絡が取れない相続人を除いて協議はできません
相続人の一部と連絡が取れない場合でも、その人を除いて遺産分割協議を進めることはできません。
注意すべきポイントは次のとおりです。
- 遺産分割協議は相続人全員の合意が必要である
- まず戸籍で相続人を確定する
- 戸籍の附票などで住所を確認する
- 連絡拒否の場合は遺産分割調停を検討する
- 所在不明の場合は不在者財産管理人を検討する
- 争いがある場合は弁護士に相談する
相続人と連絡が取れない場合には、早めに相続関係と住所調査を行い、状況に応じた対応を検討することが大切です。
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