9-1. 相続税がかかる場合とは?行政書士と税理士の役割分担
相続手続きでは、預貯金や不動産の名義変更だけでなく、相続税の申告が必要になるかどうかも確認する必要があります。
ただし、すべての相続で相続税がかかるわけではありません。
相続税は、亡くなられた方の財産の総額、借金や葬儀費用、法定相続人の数などによって判断します。
この記事では、相続税がかかる場合の基本的な考え方と、行政書士と税理士の役割分担について解説します。
1. 相続税はすべての相続でかかるわけではありません
相続税は、相続財産が一定額を超える場合に問題になります。
国税庁は、正味の遺産額が基礎控除額を超える場合には、相続税がかかり、申告および納税が必要になると説明しています。基礎控除額は、3,000万円+600万円×法定相続人の数で計算します。
(出典:「No.4102 相続税がかかる場合」国税庁)
たとえば、法定相続人が3人の場合、基礎控除額は4,800万円です。
正味の遺産額がこの金額以下であれば、原則として相続税の申告は不要です。
一方、不動産、預貯金、株式、生命保険金などを含めた財産が基礎控除額を超える可能性がある場合には、相続税申告の要否を早めに確認する必要があります。
2. 相続税がかかる可能性があるケース
相続税がかかる可能性があるのは、たとえば次のような場合です。
- 自宅以外にも不動産がある
- 横浜、東京、川崎など都市部に不動産を所有している
- 預貯金が多い
- 株式や投資信託を保有している
- 生命保険金がある
- 相続人の数が少ない
- 亡くなられた方が事業をしていた
- 生前贈与を受けている人がいる
- 貸家、アパート、駐車場などがある
- 海外資産がある
特に不動産は、現金のように金額が明確ではありません。
固定資産税評価額、相続税評価額、実際の売却価格は異なるため、相続税がかかる可能性がある場合には、税理士に確認することが重要です。
3. 相続税の申告期限
相続税の申告が必要な場合、期限にも注意が必要です。
国税庁は、相続税の申告期限について、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うと案内しています。期限までに申告しなかった場合や、少ない額で申告した場合には、加算税や延滞税がかかる場合があります。
(出典:「No.4205 相続税の申告と納税」国税庁)
10か月というと長いように見えますが、実際には、相続人調査、財産調査、不動産評価、遺産分割協議、申告書作成、納税資金の確認などが必要になります。
相続税がかかる可能性がある場合には、早めに税理士へ相談することをおすすめします。
4. 税理士が担当する業務
相続税の申告、税額計算、税務相談は税理士の専門分野です。
日本税理士会連合会は、税理士の主な業務として、税務代理、税務書類の作成、税務相談を挙げています。相続税申告書の作成も税理士の業務に含まれます。
(出典:「税理士とは」日本税理士会連合会)
税理士に相談すべき主な場面は、次のとおりです。
- 相続税がかかるか判断したい
- 不動産の相続税評価が必要
- 小規模宅地等の特例を使えるか確認したい
- 生命保険金や生前贈与がある
- 相続税申告書を作成する必要がある
- 納税額を計算したい
- 税務署への申告を依頼したい
行政書士は、相続税申告書の作成や税務代理を行うことはできません。
5. 行政書士が担当できる業務
行政書士は、相続税申告の前提となる相続手続きの書類整理をサポートできます。
主な業務は次のとおりです。
- 相続人調査
- 戸籍収集
- 相続関係説明図の作成
- 法定相続情報一覧図の作成支援
- 財産目録の作成
- 遺産分割協議書の作成
- 預貯金や自動車の相続手続き
- 税理士へ引き継ぐ資料整理
日本行政書士会連合会は、行政書士が官公署に提出する書類、権利義務に関する書類、事実証明に関する書類の作成などを行う専門職であると説明しています。
(出典:「行政書士の業務」日本行政書士会連合会)
相続税申告が必要な場合でも、税理士が申告を行う前提資料として、戸籍や財産目録、遺産分割協議書などを整理しておくことが重要です。
6. 行政書士と税理士が連携するケース
相続手続きでは、行政書士と税理士が連携する場面があります。
たとえば、次のようなケースです。
- 行政書士が相続人調査と財産目録を作成する
- 税理士が相続税の申告要否を判断する
- 税理士が相続税評価を行う
- 遺産分割協議書の内容を税理士と確認する
- 相続税申告に必要な資料を整理して共有する
相続税がかかる可能性がある場合には、遺産分割協議書を作成する前に税理士へ確認した方がよいことがあります。
税務上の特例や評価方法によって、分割内容が税額に影響することがあるためです。
まとめ|相続税が関係する場合は税理士との連携が重要です
相続税は、すべての相続でかかるわけではありません。
しかし、不動産や預貯金が多い場合には、早めに申告の要否を確認する必要があります。
重要なポイントは次のとおりです。
- 相続税は正味の遺産額が基礎控除額を超える場合に問題になる
- 基礎控除額は3,000万円+600万円×法定相続人の数で計算する
- 申告期限は原則として10か月以内である
- 相続税申告は税理士の業務である
- 行政書士は戸籍、財産目録、遺産分割協議書などを整理できる
- 相続税がかかる可能性がある場合は早めに税理士と連携する
相続手続きでは、行政書士と税理士の役割を分けて考え、必要に応じて連携しながら進めることが大切です。
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出典・参考情報
- 「No.4102 相続税がかかる場合」国税庁
相続税がかかる場合、正味の遺産額と基礎控除額、基礎控除額の計算式について案内されています。 - 「No.4205 相続税の申告と納税」国税庁
相続税の申告期限、申告方法、期限後の加算税・延滞税の可能性について案内されています。 - 「税理士とは」日本税理士会連合会
税理士の業務として、税務代理、税務書類の作成、税務相談などが案内されています。 - 「行政書士の業務」日本行政書士会連合会
行政書士が作成できる官公署提出書類、権利義務に関する書類、事実証明に関する書類について案内されています。
