1-4. 相続手続きで最初に注意すべきこと|勝手に進めると問題になるケース

ご家族が亡くなられた後は、葬儀、役所への届出、支払い、遺品整理など、短期間で多くのことを進めなければなりません。

そのため、代表のご家族が良かれと思って手続きを進めることがあります。

しかし、相続では、相続人全員に関係する財産や権利が問題になります。相続人の一部だけで進めると、後からトラブルになることがあります。

この記事では、相続手続きの初期段階で特に注意したい「勝手に進めると問題になりやすいケース」を解説します。


1. 亡くなられた方の預金を勝手に使う

相続で最初に問題になりやすいのが、亡くなられた方の預金の扱いです。

葬儀費用、病院費用、施設費用など、必要な支払いがある場合でも、亡くなられた方の預金は相続財産です。

相続人の一人が他の相続人に説明しないまま預金を引き出すと、後から次のような疑問を持たれることがあります。

  • いくら引き出したのか
  • 何に使ったのか
  • 残金はどうなっているのか
  • 個人的な支出に使っていないか
  • 相続財産を勝手に処分したのではないか

必要な支払いがある場合でも、領収書や明細を残し、できれば相続人間で確認してから進めることが大切です。


2. 遺言書を勝手に開封する

自宅や金庫などから遺言書らしき書面が見つかることがあります。

その場合、すぐに開封して内容を確認したくなるかもしれませんが、注意が必要です。

自筆証書遺言が自宅などで保管されていた場合、家庭裁判所での検認手続きが必要になることがあります。封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いのもとで開封する必要があります。

遺言書を勝手に開けると、後から他の相続人との間で「内容を書き換えたのではないか」「一部を隠したのではないか」と疑われる原因にもなります。

遺言書らしきものが見つかった場合は、そのまま保管し、家庭裁判所や専門家に確認することをおすすめします。


3. 遺品や書類を急いで処分する

遺品整理を急いで進める必要がある場合でも、書類や郵便物をすぐに処分するのは避けた方がよいです。

相続手続きでは、次のような資料が重要になります。

  • 通帳
  • キャッシュカード
  • 保険証券
  • 不動産の権利証
  • 固定資産税通知書
  • 証券会社からの郵便物
  • 借入金の明細
  • クレジットカード利用明細
  • 税金や保険料の通知
  • 契約書
  • 遺言書らしき書面

一見不要に見える郵便物や古い書類から、金融機関、保険会社、不動産、借入金などが判明することがあります。

遺品整理を始める前に、相続手続きに関係しそうな書類を分けて保管しておきましょう。


4. 相続人全員を確認しないまま話を進める

相続手続きでは、誰が相続人になるのかを正確に確認する必要があります。

普段の家族関係から「相続人はこの人だけだろう」と思っていても、戸籍を確認すると、前婚の子、認知した子、養子、代襲相続人などが判明することがあります。

相続人を確認しないまま遺産分割の話を進めると、後から別の相続人がいることが分かり、協議のやり直しが必要になる場合があります。

遺産分割協議は、原則として相続人全員で行う必要があります。

そのため、相続人調査は相続手続きの最初の重要な作業です。


5. 財産の全体像が分からないまま分け方を決める

相続では、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金や未払金などのマイナスの財産も確認する必要があります。

財産の全体像が分からないまま「この預金は長男が取得する」「不動産は配偶者が取得する」などと決めてしまうと、後から別の財産や債務が見つかり、再調整が必要になることがあります。

まずは、次のような財産を確認しましょう。

  • 預貯金
  • 不動産
  • 株式・投資信託
  • 自動車
  • 生命保険
  • 貸金庫
  • 借入金
  • ローン
  • 未払の医療費・施設費・税金

財産と債務を一覧にして整理することで、相続人同士の話し合いがしやすくなります。


6. 相続放棄を検討する前に財産を処分する

亡くなられた方に借金がある場合や、財産より債務の方が多い可能性がある場合には、相続放棄を検討することがあります。

相続放棄は、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。

相続放棄を検討している場合には、亡くなられた方の財産を処分したり、預金を使ったりする前に、慎重に判断する必要があります。

行為の内容によっては、相続財産を受け継ぐ意思があると評価される可能性があります。

借金の有無が分からない場合には、早めに財産調査を行い、必要に応じて専門家に相談することが大切です。


7. 専門家に確認すべき場面を見落とす

相続手続きは、ご家族だけで進められる場合もあります。

しかし、次のような場合には、早めに専門家へ確認した方が安心です。

  • 相続人が複数いる
  • 相続人の一部と連絡が取れない
  • 前婚の子や養子がいる
  • 遺言書が見つかった
  • 不動産がある
  • 借金がある可能性がある
  • 相続放棄を検討している
  • 相続税がかかるかもしれない
  • 遺産分割協議書が必要
  • 相続人同士で意見が合わない

行政書士は、戸籍収集、相続関係説明図、財産目録、遺産分割協議書、預貯金や自動車の相続手続きなどをサポートできます。

一方で、相続人同士で争いがある場合の代理交渉や訴訟は弁護士、不動産登記は司法書士、相続税申告は税理士の業務です。

状況に応じて、適切な専門家に相談することが大切です。


まとめ|相続手続きは、最初の進め方が大切です

相続手続きでは、早く進めることよりも、正しい順番で進めることが重要です。

特に、次の点には注意しましょう。

  1. 亡くなられた方の預金を勝手に使わない
  2. 遺言書を勝手に開封しない
  3. 重要書類を処分しない
  4. 相続人を確認しないまま話を進めない
  5. 財産の全体像を把握せずに分け方を決めない
  6. 相続放棄を検討する前に財産を処分しない
  7. 必要な場面で専門家に相談する

相続手続きは、最初に誤った進め方をすると、後から手続きのやり直しや相続人間のトラブルにつながることがあります。

まずは、相続人、財産、遺言書、債務、期限の有無を整理し、慎重に進めることが大切です。


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