11-5. 家族に迷惑をかけないための財産整理とエンディングノート
相続で残された家族が困る原因の一つは、亡くなられた方の財産や契約関係が分からないことです。
どの銀行に口座があるのか、どこに不動産があるのか、どの保険に入っているのか、借金や未払金があるのかが分からないと、相続手続きに時間がかかります。
そのため、生前から財産を整理し、家族が確認できる形にしておくことが大切です。
この記事では、家族に迷惑をかけないための財産整理と、エンディングノートの活用方法について解説します。
1. 財産整理は相続手続きの負担を減らします
相続手続きでは、亡くなられた方の財産を確認する必要があります。
財産の内容が分からない場合、家族は通帳、郵便物、契約書、スマートフォン、パソコン、役所の書類などを一つずつ調べることになります。
生前に財産を整理しておくことで、残された家族の負担を大きく減らすことができます。
財産が多い方だけでなく、預貯金口座が複数ある方、ネット銀行や証券口座を利用している方、保険やサブスクリプション契約が多い方も、整理しておく意味があります。
2. 整理しておきたい財産
財産整理では、次のような情報を一覧にしておくと役立ちます。
- 預貯金口座
- ネット銀行
- 証券会社の口座
- 株式・投資信託
- 不動産
- 生命保険
- 自動車
- 年金関係
- 貴金属・骨董品
- 貸金庫
- 借入金
- 住宅ローン
- クレジットカード
- 未払金
- 保証人になっている契約
財産だけでなく、借金や保証債務の可能性も整理しておくことが重要です。
相続では、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も問題になります。
3. 契約関係も整理しておく
亡くなった後、家族が困りやすいのが各種契約の整理です。
確認しておきたい契約には、次のようなものがあります。
- 電気
- ガス
- 水道
- 携帯電話
- インターネット回線
- NHK
- 新聞
- クレジットカード
- サブスクリプション契約
- 家賃・管理費
- 介護サービス
- 医療・施設関係
これらの契約は、放置すると料金が発生し続けることがあります。
契約先、連絡先、契約番号、支払方法を一覧にしておくと、家族が解約や名義変更をしやすくなります。
4. エンディングノートの役割
エンディングノートは、自分の希望や情報を家族に伝えるためのノートです。
遺言書のように法的効果を持つものではありませんが、家族が手続きを進めるうえで大きな助けになります。
エンディングノートには、次のような内容を書いておくとよいでしょう。
- 財産の一覧
- 通帳や保険証券の保管場所
- 重要書類の保管場所
- 葬儀や供養の希望
- 連絡してほしい人
- 医療や介護の希望
- ペットの世話
- スマートフォンやパソコンの情報
- 契約関係の一覧
- 専門家や相談先の連絡先
エンディングノートは、家族が「何を確認すればよいか」を知るための手がかりになります。
5. 遺言書との違い
エンディングノートと遺言書は、役割が異なります。
エンディングノートは、家族への情報共有や希望を伝えるためのものです。
一方、遺言書は、財産を誰にどのように承継させるかを定める法的な書類です。遺言については、民法で方式が定められており、法律上の効力を持たせるには定められた方式に従う必要があります。
(出典:「民法」e-Gov法令検索)
財産の分け方を確実に決めたい場合には、エンディングノートだけでは不十分です。
たとえば、特定の相続人に不動産を相続させたい場合や、相続人以外の人に財産を渡したい場合には、遺言書の作成を検討する必要があります。
6. デジタル情報にも注意する
最近は、紙の通帳や契約書がない財産や契約も増えています。
たとえば、次のようなものです。
- ネット銀行
- ネット証券
- 電子マネー
- QRコード決済
- 暗号資産
- サブスクリプション契約
- クラウドサービス
- メールアカウント
- スマートフォン決済
- SNSアカウント
これらは、家族が存在に気づきにくい財産や契約です。
ただし、パスワードそのものの管理には注意が必要です。
エンディングノートには、利用しているサービス名や確認方法を書き、パスワードの保管方法は安全性に配慮して決めましょう。
7. 行政書士に相談できること
行政書士は、財産目録の作成、相続人関係の確認、遺言書作成の準備、エンディングノート作成に向けた整理などをサポートできます。
エンディングノートだけでは法的効果が不十分な場合には、遺言書作成もあわせて検討することが大切です。
行政書士に相談することで、どの情報を整理すべきか、遺言書にすべき内容は何かを分けて考えやすくなります。
まとめ|財産整理とエンディングノートは家族への大切な準備です
財産整理とエンディングノートは、残された家族が相続手続きを進めるための重要な準備です。
重要なポイントは次のとおりです。
- 預貯金、不動産、保険、証券口座を整理する
- 借金や未払金も確認しておく
- 契約関係を一覧にしておく
- エンディングノートは家族への情報共有に役立つ
- 財産の分け方を決めるには遺言書が必要になる
- デジタル資産やネット契約にも注意する
家族に負担をかけないためには、財産の多い少ないにかかわらず、早めに情報を整理しておくことが大切です。
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出典・参考情報
- 「民法」e-Gov法令検索
遺言は、民法で定める方式に従って作成する必要があります。 - 「自筆証書遺言書保管制度について」法務省
自筆証書遺言を作成・保管する制度について案内されています。 - 「遺言書の検認」裁判所
自宅保管の自筆証書遺言などで必要になる検認手続きについて案内されています。

